さいこみゅ劇場「いぬとねこ」#40 | サイノーコミュニケイション&THEファクトリー

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茜川莉奈
 ね~ね~聞いてよ~七條くん~
七條純夏
 ・・・・・・
茜川莉奈
 正義ってなんなんだろうね~
七條純夏
 相変わらずの驚異的なまでに突発的な発言だな
茜川莉奈
 もふん
七條純夏
 なんだ、今の奇妙な音は・・・
茜川莉奈
 噛みました・・・すみませぬ・・・。
 順を追って説明するね!

 わたしのおかんの友人の話なんだけど・・・
七條純夏
 待て、君は関東の生まれではなかったか?
茜川莉奈
 そこは素通りしてよ~(>_<)

 わたし相手にそこで引っかかってたら
 話がいつまで経っても終わんないじゃん~
七條純夏
 ・・・まぁ、確かにそうだな。続けてくれ
茜川莉奈
 息子さんが給食費を盗られたんだって!
七條純夏
 ふむ
茜川莉奈
 今時こんなおかしなことってある!?
 給食費を盗るなんて人間のやることじゃないよ!!
 ご飯だよ!?食べれなくなっちゃう!!ひどい!!
七條純夏
 ・・・なんだその原始的な発想は?
茜川莉奈
 え?・・・おかしい?・・・どこが?
七條純夏
 すべてだ。この時代に給食費を振込式に

 してないことがそもそもおかしいだろう?
 それと、原始的という意味では食べるに特化した

 君の発言にもかかっている
茜川莉奈
 お、おお・・・そうっすか・・・
七條純夏
 たまに君の返しが男子高校生みたいになるな
茜川莉奈
 その子・・・お母さんに言わなかったんだって。
 無くしたって言って誰のせいにもしなかったらしいの。
 先生にも犯人を特定したくないから

 犯人探しをしないでくれって。
 でも、彼は給食を食べられなくなっちゃうんだよ!?

 ひどくない!?お腹すいちゃうよ!
七條純夏
 腹でもすいてるのか?

 異様なまでに給食にこだわりを見せているようだが・・・
茜川莉奈
 え?・・・別にすいてないよ?
 さっきパン食べたもん(*'ω'*)
七條純夏
 あと、話が突然戻るから相槌が打ちにくい。
 順を追って話す気があるのならちゃんとしてくれ

 

 

茜川莉奈
 りょっ!('◇')ゞ
七條純夏
 つまり、君はこう言いたいのか?
 給食費を盗んだ犯人を知りたいと
茜川莉奈
 ううん、違うよ
七條純夏
 はぁ?・・・じゃあ、何が目的だ?
 僕にストレスを与えるのが目的なのか?
茜川莉奈
 な、なんでよ・・・そんな変な目的は持ちませんよぅ!
 そんなことをしたら後が怖いもん・・・(;'∀')
七條純夏
 じゃあ、なんだ?
茜川莉奈
 その子の正義感と自己犠牲がすごいのに

 それに乗じて犯人がのうのうと給食を

 食べてるなんて許せないでしょ?
七條純夏
 ・・・・・・
茜川莉奈
 あ、あれ?・・・予想と違う反応してる
七條純夏
 失礼な。何を予想したんだ?
茜川莉奈
 わたしと同じく怒りに満ちて犯人探しをしてくれるかと・・・
七條純夏
 僕はあいにく夢見る少女ではないのでな。
 君と同じ結論には至らないんだよ
茜川莉奈
 どういうこと?
七條純夏
 物事には表面的に見えるものと

 表裏一体になってることは殆どない。
 そして、世間の連中は物事の一部だけを見て、

 正義感に駆られて無意味な行動をとり、

 自己満足に至る。
 しかし、真実はそんなに簡単なものではない
茜川莉奈
 きゅ、急に難しい話になっちゃった・・・

 むずいよぅ;つД`)
七條純夏
 では、簡単な例を出そう
茜川莉奈
 よかった!
七條純夏
 おばあさんが倒れている。

 その横に立っている若者の男性。
 ぱっと見ではそういう構図だ。

 君はどう考える?

 

茜川莉奈
 え?・・・おばあさんは倒れているんだよね?
 ・・・だったら、男性が何で助け起こして

 あげないんだろう?とかそういう感じかなぁ・・・

 その人がぶつかって倒しちゃったのかもしれないし。
 そうなると、怒りを覚えるね。こいつ、最悪って!
七條純夏
 だろうな。恐らく9割以上がそう答えるだろう。
 なにせ、おばあさんは誰の目から見ても弱者だ。
 そうなれば弱者が虐げられている構図になるわけだからな
茜川莉奈
 だしょ!?許せないよ!!
七條純夏
 なんだ「だしょ」って・・・どこの出身だ君は?
茜川莉奈
 噛んだんですぅ・・・スルーしてよぅ(;゚Д゚)
七條純夏
 話を戻すと、この事態にこういうストーリーが

 付随していたらどうする?
 おばあさんがその若者に悪口を言い、

 反応を示さない男性に襲い掛かった結果
 勢いあまって自分がこけてしまったとしたら?

 いわゆる自爆というやつだな
茜川莉奈
 え?・・・それは、無理があるんじゃないかなぁ?
七條純夏
 そうかもしれないが、目の前でそういう事が

 起きたのを目撃していたら
 先ほど言った意見は100%でないだろう?
 弱者の方が悪人だった、

 という事実が目の前にあるんだからな
茜川莉奈
 う~ん・・・ちょっと屁理屈だよ~
七條純夏
 ふふ、確かにそうかもしれん。

 だが、真実は小説より奇なり。
 我々が予想する常識的な事実など

 言うほどあてにならん。
 物事の真実を知りたければ

 頭から終わりまでをすべて見て、
 なおかつ当事者が何を考えているのかを

 聞き出さない限り、
 真実なんてものは藪の中ということだ
茜川莉奈
 ・・・むぅ
七條純夏
 だが、人は目の前で手に入れた情報のみで

 物事を判断する傾向にある。
 そして、その人がどういう人物かどうかなど

 知らなくても構わないんだ。
 その結果、無責任な正義感が生まれ、

 ありもしない真実を捏造する。
 肝心なのは自分だけの不安定な判断材料だけで

 真実を決めないことだ
茜川莉奈
 は、はひ・・・よくわからないけどわかった・・・
七條純夏
 そうか。世間ではそれは「よくわかっていない」状態だ
茜川莉奈
 ただ、その話がどう繋がるんでしょう?わたしの話に
七條純夏
 ・・・給食費を盗んだ人間なんていない。
 そいつが自分のために使い込んだだけだ
茜川莉奈
 うぇ!?
七條純夏
 そういう事も考えられるんじゃないのか?
 正義なんて立ち位置でいくらでも変わる。
 そんなものは判断材料にはならんということだ。
 君の母親の友人の子なのだろう?
 だったらその時点で君には公平に見る条件が整っていない。
 先入観として、誰が味方で、敵か。
 スタート地点で決まってしまっているんだ
茜川莉奈
 ・・・・・・
七條純夏
 本来なら頼まれてもいない我々には

 真実を究明する権利はない。
 だが、ワイドショーなどでこう言うだろう?
 「我々が出来ることは何でしょう?」とか

 「考えなきゃいけませんね」とかな。
 はっきり言えば出来ることなどない。

 そんな奴は発言する権利すらない。
 やりもしないくせに立ち位置がそうだからと

 言って偽善を並べるな、と言いたいね
茜川莉奈
 し、七條くん。

 もしかして今、ストレスがすごい溜まってない?
七條純夏
 何故そう思う?
茜川莉奈
 なんとなく・・・

 

七條純夏
 いや、そんなことはない。
 僕はただ、正義という言葉が嫌いなんだ。
 人を助けるためには誰かを傷つけたり、

 どうしようもない選択肢を選ばなきゃならないことは多々ある。
 汚れ役を引き受けることなんてざらだ。

 だが、それでも結果的に誰かを助けられるならそれでいい。
 いちいち正義をお題目に立てなければならないなら、

 僕は悪人で構わない。
 僕には正義なんてものは無い。

 結果的に目的を遂行できるなら、なんだってする
茜川莉奈
 ・・・・・・

 

茜川莉奈
 どうして七條くんがこの時、こんなことを言ったのか。

 当時のわたしにはわからなかった。
 その後、この言葉の通り七條くんの独自すぎる意志と

 行動で真実を追求する姿を何度も見て、
 この人の中にあるのは「正義」とか「悪」とかではなく、
 大事な「何かを守る、誰かを助ける」という

 確固たるルールが判断材料なんだと思った。
 

 自分にどんな不条理があっても歩みを止めない。

 結論を出すときは必ず全責任を背負う。

 その結果、誰かを助けることになる。
 
 中々に理解できない人だけど、

 おかげでちょっとだけ七條純夏という人を理解できた。
 後にも先にも、七條くんが自分の信念を

 話してくれたのはこの日だけ。


 わたしにとってこの日は、

 ちょっとした記念日なのである。

 

つづく・・・?