夜中に叶わなかった恋を思い出して落ち込む。よく有る事だ。
所詮、交差する事の無かった感情の逃げ場を、見つけられなかっただけの話。
そんな未練たらしい自分を再確認した。



昔持っていた携帯電話の、充電が切れてもう六年くらい。
ふと、見つかった充電器に挿してみた。
半ば諦めていたのにも拘わらず、六年ぶりに起動した事に、心が揺れた。
操作に戸惑いながらメールボックスを開いてみる。


やっぱりメールは残ってなかった。
あの頃の想いも、記憶も、トドメを刺された言葉も全て、
綺麗に無くなっていた。まぁ、起動した事がそれ自体、奇跡だったんだけれど。


想い出としては余りに綺麗で、いつまでも心に残っている物で、
忘れる事も諦めて、ずっと忘れないでいようと決めた事だったから、


まぁ割と覚悟は決まっていたのだよ。
携帯のメモリーが真っ白になっても、心の中には残ってるからね。


でも、なんか心が落ちた。
携帯のメモリーが消えていた事もそうだし、
その携帯の電源を入れた時に、少し期待していた自分にがっかりした。
メモリーが残っていて、想い出に触れる事が出来るんじゃないかってな。



この携帯電話に電源が入る事は、もう二度とないだろう。
想い出の入れ物としての役目は、今日で終わった。



心に有る想いを大切にしながら、うん、引きずるのはやめないといけないな。

いい加減、いい年になった。
あの頃二十一だった俺は、もう二十七歳だ。
て事は、彼女も二十七歳。
もう結婚しててもおかしく無い歳だ。



今、あの人が幸せにしていてくれれば、
俺はもう、それで良い。