<心のサングラス>
サングラスをかけている人が言う。「なんかさー、いっつも天気が曇りなんだよねー(汗)」
この「サングラスをかけている人」が、世間で言う、「うつ病」の人である。
どんなに快晴の日でも、この人にとっては世界は灰色に見えている。そして、本人は自分がサングラスをかけていることに気付かず、自分の視界が灰色であることに執着している。
「うつ病への認知療法」を開発したアメリカの精神科医、Beck, A.T. (ベック)は、何か出来事が起きた時に「パッ」と頭に浮かぶネガティブな考えを「自動思考」と呼んだ。この自動思考こそが、「心のサングラス」である。
会社で先輩に挨拶した時、先輩が無愛想に「おつかれさん....」と言ったとする。その瞬間、「ああ、僕が仕事が出来ないから、先輩は僕を嫌ってるんだ」という自動思考が「パッ」っと頭に浮かんだ。そういうネガティブな自動思考を発生させる癖がついていると、どんどん世界が灰色に見えてきて、慢性的な気分の落ち込みを経験するようになる。「心のサングラスをずっとかけたままの人」になってしまう。
心のサングラスを外すには、どうすればいいのか。ベックのような認知療法家がうつ病患者に処方するのは、「思考記録表」である。①出来事 ②ネガティブな自動思考 ③感情 ④ネガティブな自動思考への反証の4点のみを、とにかく記入する癖をつける。すると、「先輩は寝不足なのかな....」「何かあったのかな」と、適応的な自動思考を作り出せる脳に少しずつ変わっていく。自分がサングラスをかけっぱなしであることに気づきはじめる。そりゃ、先輩が本当に自分に腹を立てていることも時にはあるかもしれない。だが、うつ病になると、周りから見て明らかに先輩が自分に腹を立てている状況ではない時にも、ネガティブな思考が頭をよぎるようになってしまう。「心のサングラス」を取る為にまず行うことは、紙と鉛筆を用意し、①出来事 ②ネガティブな自動思考 ③感情 ④ネガティブな自動思考への反証を書き留めることである。「そんなこと本当に意味あるのか?」と思う人もいるかもしれないが、続けていくことで、効果は見えてくる。心の空が、晴れ渡りますように。