神飢狼 立川バベル 2025.11.24
ヘヴィ・メタル・バンドの形態をした、劇団、楽団、そしてエンターテイメント集団。ステージの回数を重ねる毎に、神飢狼は独自の個性を確立し、その色合いをますます強くしている。
神飢狼のクエスト(ライヴ)は、1本見るだけでもヘヴィ・メタルのショウとして完成されているが、演奏と劇が融合したパフォーマンスが繰り広げられるため、毎回見ることによってストーリーがより明確に楽しめるのだ。
例えて言うなら、クエストはドラマの「第〇話」、映画の「パート〇」といったところだろう。立川バベルで開催された今回のクエストは、年内最後のステージ。物語の続きが、ここで披露される事となった。
今回のステージにおいて、神飢狼はオープニング・アクトとして出演。イヴェントのトップ・バッターとして17時から出演している。ただ、開演前から既に神飢狼の世界観が場内に構築されていた事を特筆せねばなるまい。
通常ライヴハウスでは転換などの待ち時間に、場内BGMが流される。本公演では16時55分頃になると、クエストの開始を告げるナレーションが流れ、神飢狼が何者で、どのような使命を背負った集団なのか、そしてこれまでのストーリーをまとめた内容が語られた。
初めて見る方にも判り良い演出と言える。ナレーションが終わると開演時間の17時。キッチリと計算された段取りだ。魔族の方々がステージに登場してスタンバイ。本公演は、ヴァルナ氏とハルカ氏が魔国に帰っているため、5名での出演だ。
バンドがイントロダクションを奏でた後、音が止み、マティアス氏が「神飢狼、参上!」と言う。タイトル・コールから「Phantom Phoenix」の演奏がスタート。歌パート前になると春京氏(Vo)が登場した。
歌詞のストーリーと音楽に加え、神飢狼のステージではバンドが持ち込んだ幕が後方に設置され、舞台上に旗もある。視覚効果の面でも、その世界観を徹底的に作り込んでいる点を見逃せない。
「Phantom Phoenix」のエンディングから音が続き、マティアス氏がメタリックなギター・リフを弾く。始まったのは「リヴァイア」だ。フロアでは頭を振ったり、拳を突き上げる観客の姿が見られた。
サビではリズムに合わせて、マティアス氏がギターを、アンサズ氏がベースのネックを振り上げるアクションを見せた。観客とエネルギーをぶつけ合う「ライヴ感」に加え、キッチリと計算された見せ方が融合している。
2曲の演奏を終え、場内は暗転。物語の進行を司るナレーションが流れた。ナレーションの後、ステージに登場したリリー氏が続きを述べる。やがて「Wicked soul Eater」のタイトル・コールへ。
ギターのディストーション・サウンドと、それに対比するかのようなサンプリングの煌びやかなシンセ音が、闇と光のドラマ性を感じさせる。ドラムとベースの戦闘的なビートになると、春京氏が鬼気迫るヴォーカルを披露。見て聴くだけではない、体験する音楽がここにある。
ここで初めて、フリー・トークと呼べるMCが挟まれた。マティアス氏が観客に挨拶。するとリリー氏が「探索していると、これを見つけた」と言い、紙を出す。「2026年2月14日、立川バベル・・・」と読み上げる。
次回のクエストの告知だ。物語の進行の中に、次回の告知をサラリと挟む、絶妙なバランスである。リリー氏が「詳細はSNSをチェックしてください」と言い、フロアからは笑いの声が聴かれた。魔族の楽団だけに、SNSという人間的なワードに観客が反応したのだろう。
次がラストの曲。マティアス氏が「Fight for freedom」とタイトル・コール。春京氏のクリアなヴォーカルの合間に、アンサズ氏がデス・ヴォイスを発するパートが印象的だ。
炎を想起させる真っ赤なライティングの中、マティアス氏がテクニカルなギター・ソロを披露。叩きつけるようにストロングな、メタル・サウンドが立川の夜を熱く燃やし、神飢狼のクエストはエンディングを迎えた。
持ち時間の中で、キッチリと起承転結の流れを作り出す構成が、正に神飢狼らしい。クエストの数だけ物語があり、すべてを網羅する事によって、大河の如き魔族の壮大なストーリーを体験できる。次回は2026年2月14日である。
セット・リスト
SE
①Phantom Phoenix
②リヴァイア
③Wicked soul Eater
④Fight for freedom














