『いじめてごめんなさいのうた』


いじめてごめんなさい
あなたのことを人づてに聞きました
まさかあなたを茶化した一瞬の笑いが
あなたの将来をここまで苦しめることになるとは
全く思いもしませんでした

いじめてごめんなさい
あなたがニートとして世間の笑いものにされている
それは今の私にはとても心外です
あなたはきっと社会でたくさんの人と関わり
大きく活躍する将来有望な人だったことでしょう
それを潰してしまってすみませんでした


いじめてごめんなさい
いじめて引きこもらせてしまうことで
あなたのかけがえのない家族との関係も悪くしてしまいました
仲が良かったでしょう雰囲気を壊してしまい
結果的にあなたをひとりぼっちにして苦しめてしまいました
あなたにどんな顔向けが出来るかわかりません

いじめてごめんなさい
あなたはきっと素敵な恋もしたかったことでしょう
本来ならば今頃あなたを愛する人だっていたはずです
その恋はあなたをさぞかし幸せにしたことでしょう
でもあなたに人を信じる気持ちさえ奪ってしまい
恋心すら持てなくしてしまいました

いじめてごめんなさい
数年経て学年や学校が変われば環境も変わって
いじめもなくなる可能性がある
そんな事実を思いつけないほどあなたの毎日を
無茶苦茶にしてしまいました
結果幾年もの間あなたを一人の世界へ押しやり
取り戻せないものを失わせてしまいました

いじめてごめんなさい
あなたは満足に友達もいなかったことでしょう
あなたの人に打ち明ける心を壊してしまいました
教室がだめでも、部活なら、塾なら
今いる環境がだめならネットでも
百人だめなら千人のうちに一人くらいは
心を開ける環境は無限にあり
受け入れてくれるであろう人も無数にいるのに
私のいじめはその事実すらねじ伏せてしまいました


いじめて申し訳ありませんでした
とにかく私が愚かだったのです。
だからせめて一言詫びがしたいのです
あなたにも死にたい気持ちがあったことでしょう
それは私も同じです
それでも言えることがあるとすれば
これまで生きていてくれてありがとうございました

いじめて申し訳ありませんでした
もしあなたが誰かを傷つけたい衝動に駆られたなら
それは私のせいでしょう
そして実際に誰かを傷つけてしまっていたら
それはもう私の犯罪と言ってもいいでしょう
もしその殺意を押し殺して生きているとすれば
それはもうあなたに感謝すべきことでしょう

いじめて申し訳ありませんでした
あなたは決して死んだ方がいい人間ではありません
それなのに私はあなたに死ねなどと言ってしまいました
それがあなたの自尊心をどれだけ傷つけてしまったかわかりません
生きる自信をどれだけ失わせてしまったことでしょう
あなたには生きる意味がある
私なんかに言われてもしょうがないかもしれませんが
あなたはそれをきちんと胸に刻んで生きてください

いじめて申し訳ありませんでした
あなたは自分がいじめられたのは
自分が悪いからだと思ったかもしれません
そんなことを私はどれだけ思わせてしまったことでしょう
でも実際には私なんかにあなたを悪いと決める資格はありません
普通に生まれて普通に生きて普通に学校に通ったことが
悪いことなのならば私達は生きてはいけません
そんなあなたの心を殺したのならば
私はどうすればあなたに謝罪ができるでしょうか?

いじめて申し訳ありませんでした
私は人に心から愛されるような人間にはなれませんでした
だからといって他人を傷つけていいはずがありません
それが自分ではなく他人の人生を狭めていくのならば
余計にそうでしょう
今では愛とは誰かのために自分の身にかかる理不尽を
連鎖させずに絶つことだと思います
その事実を当時知っていれば私はもう少しいい人間関係に恵まれて
あなたにもいい行動を伴えたことでしょう


いじめて申し訳ありませんでした
いじめて申し訳ありませんでした
いじめて申し訳ありませんでした
いじめて申し訳ありませんでした
いじめて申し訳ありませんでした

いじめて申し訳ありませんでした