藤:「珍しくなんか怒っているな」
熊:「そうなんだよ。
怒らなきゃいけないと思うんだけど、
皆なぜか静観しているんだよ」
藤:「何の話だ?」
熊:「音楽定額配信の話さ、
これ、要するにシングルCD一枚の料金で
3500万もの数の音楽がダウンロードできるってやつさ」
藤:「別に怒る要素なんてないんじゃないのか?」
熊:「これははっきり言えば、
これからの社会では音楽で食べていけませんって
言っているようなものじゃないのか?」
藤:「そこまで大袈裟なものなのか?」
熊:「だと思うぞ」
藤:「タダじゃないだけマシじゃないのか?」
熊:「まあ、そうなんだけどもさ。
お前は自分の働いた給料が下げられるのは
嫌じゃないのか?
安く売るっていう事は
自分の仕事の値段を下げられるということだ。
そういうのを理解しないで
安いものを買う人間ばかりだから、
日本も世界全体も不況になったんだと思うぞ。
日本にはタダより高いものはないって
ことわざもあったくらいなのに」
藤:「そうなのかなあ」
熊:「音楽配信側が権利を掌握し過ぎだと思う。
安値でさえあれば何でも買うというのを改めないと、
コンテンツとかは最悪タダになるし、
タダになった状況の後で皆お金を払おうとしなくなるし、
いいことがないと僕は思うんだがな」
藤:「広告とかで収入を得るんだろ?」
熊:「そんなのタカが知れているだろ。
一握りの人間を儲けさせることで、
全体的にタダのコンテンツを飛躍的に増やして、
また自分たちの広告収入が増える。
著作権の侵害が増える一方だ。
どことは言わないけどな」
藤:「Googleだろ?」
熊:「…実名を出すなっての。
一部の人間だけがお金を得られる状況を作り、
そこに入れないその他大勢の人間に関しては
タダで作れる状況を作る。
だけど、そのタダは
ある程度収入などがある状況じゃないと享受できなくて、
できない人間に関してはワープアでもなんでもしてろと、
見捨ててしまう。
その見捨てられた人間たちや
見捨てられそうな一歩手前の人達が、
ないお金を出して
一部のお金を得られている人間を支えるから
一部の人間たちのお金もどんどん削られていっていく。
そんな状況で世界経済は回っているから、
世界は不況になるしかなくなる。
そんな状況が目に見えているのだから、
せめてコンテンツくらいは
高値を目指して売り続けて欲しいものだよ」
藤:「でも、それじゃ、皆高くて買えないというのも
一つの真理かもしれないぜ?」
熊:「う~ん。
自分の中でこういうのに対して
こうすればいいんじゃないかという
いくつかの答えは出ているのだけれども、
世間は多分僕のことを
単なる馬鹿だとしか思わないだろうからなあ。
誰も聞いてくれないだろうし、
実際、中途半端に聞かれても困るからな」
藤:「対策があるなら書けばいいのに」
熊:「少なくとも言えるのは、
自分たちの給料を高くしたいのならば、
なるべく高い値段で買い物をしろ、
そして高い値段でも相手を納得させる
仕組みやらサービスやらを売れということかなあ」
藤:「…別の言葉でお茶を濁したな」