藤:「久し振りだな」
熊:「ああ、このまま放置し続けるのも
一つの手かもしれないと思ってたけど、
取り敢えず書くことができたから書くことにしたんだ」
藤:「一体なんだ?」
熊:「ミスターチルドレンのスタジアムツアーのチケットが
当たったんだ」
藤:「良かったな」
熊:「でも、4枚当たったのに一緒に行く宛が今のところ、
誰もいないんだ」
藤:「何故4枚も買った?」
熊:「当たるかどうかわからないじゃないか。
当たった場合は他の人と交換することで別の日も
見られる可能性もあるわけだし」
藤:「別に転売目的じゃないんだな」
熊:「そうじゃないよ、勿論」
藤:「幼馴染の女の子に一応言ってみろよ。
もしかすると会ってくれるかもしれないじゃないか」
熊:「…そうなんだよな。
でも、断られる可能性も高いし、
断られた後のうちと向こうの家族双方の反応が
嫌だというのもある」
藤:「どういう事だ?」
熊:「何か向こうの家には、
引っ越せみたいなことを言われているような感じだからさ」
藤:「本当にそう言われているのか?」
熊:「まあ、実際にはうちの家族が
向こうの家族に迷惑にならないように
そういっているだけかもしれないけれどもさ」
藤:「そんなに迷惑かけたのか?」
熊:「知らないよ。
知らないのに何故かこちらが
滅茶苦茶迷惑をかけたような反応がなされているから
腹が立ったりするんだよ」
藤:「嫌なら他をあたってもいいんじゃないのか?」
熊:「他に誘いたい人も確かにいることはいる」
藤:「何だ、いるのか」
熊:「三四年位前にとあるアーティストにはまって、
その人のところに足繁く通っていたんだ。
その人を誘ってみたい気もしている」
藤:「…ああ、じゃあ、無理だな」
熊:「…そうだよな。無理だよな」
藤:「…その説明じゃあ駄目だって言ってるだけだよ。
もう少し面白いエピソードもあるんだろ?
だったらそれをもっとよく説明した方がいいんじゃないのか?」
熊:「幼馴染の子にそっぽを向かれ続けた後に、
とある動画の女の人が面白い存在だなと思って、
思い切って匿名でプロポーズのようなことをした」
藤:「いきなりか。馬鹿じゃないのかお前は。
反応はどうだったんだ?」
熊:「…何か反応があるのかないのかわからないような状況になった」
藤:「少なくとも反応があったんだろ」
熊:「遠回しにな」
藤:「遠回しにでもあったと。で、どうしたんだ?」
熊:「彼女のライブに毎回顔を出すようになった」
藤:「幼馴染の女の子に対してよりも、
この子に対しての方がよっぽどストーカーと呼べるようなことをしたと」
熊:「…そう言ってしまえばそうかもしれないけどさ。
まともな客をやっていたのだから、
そこまで言えるような立場にはないと思うぞ」
藤:「まあ、その子もできば誘ってみたいなと思ったわけだな」
熊:「…まあそうだな」
藤:「どっちを先に誘うんだ?」
熊:「そりゃ、幼馴染の女の子の方だな」
藤:「何で?」
熊:「年齢的に向こうを先に誘わないと駄目だと思うし、
アーティストの子の方は僕が誘わなくても、
別の相手が現れる可能性が高いし」
藤:「…何か失礼なことを言っていないか?」
熊:「事実だろうからな。
まあ、幼馴染の女の子が結婚している可能性も
高いかもしれないけどさ」
藤:「俺は多分、どちらにも振られると思うが、
その場合も考えてなるべく早く
次の手が打てるようにしておいた方がいいだろうな」
熊:「そりゃそうだな。早速手紙を書こうか」