(前回の関連記事は「キン肉マンタイプ 」です。)
※年末の気功指導は12月31日(水)~1月2日(金)が休みとなります。
キン肉マンタイプ・脳バージョン
前回の記事では、
キン肉マンは名前の通り筋肉ムキムキでパワフルですが、
透視能力を使ったり、幽体離脱はしません。
その力は神秘行とは無縁な肉体的パワーです。
ここからわたしは、気功を行っていて手足の帯電感や熱感が
強くなり、肉体的パワーが増すけれど、神秘行としての効果が
出ないタイプの人をキン肉マンタイプと呼んでいます。
というか、気功をやりこんだ人のほとんどはキン肉マンタイプに
なります。
と書きました。
そして、その理由として、
ただ、これはしょうがないんですね。
巷の気功教室で教えられている太極拳や立禅はもともと中国武術の
鍛錬法です。
言い換えれば、元々がキン肉マンタイプになることを目的にした
行体系なわけです。
腕っ節を強くすることを目的に作られた武術系システムを
続けていれば、キン肉マンタイプになることは至極当然です。
と説明しました。
しかし、実際に神秘行としての気功・仙道を行っている人達は、
①「大周天を目指して毎日立禅しています。」
②「太極拳で気を強化して陽神を作る。」
③「火の呼吸でクンダリニーを覚醒させる。」
というパターンが多いです。
これってわたしから見るとかなり矛盾があります。
①「立禅」、②「太極拳」については、今まで説明した通り元来が
武術の訓練法ですから神秘行としての効果を望むことは無理が
あります。
③「火の呼吸」については、専門サイトをいくつか調べたところ
以下のような共通の説明箇所がありました。
広めた人→ヨギ・バジャン。
クンダリニー・ヨーガの呼吸法がベースになっている。
内容→1分間に200回のペースで呼吸を行う。
(効果)
(1)基礎代謝アップによる免疫強化
(2)自律神経を刺激し、ストレスの抑制
(3)有酸素運動による脂肪燃焼
(4)腹筋の強化
となっています。
上記の(1)(2)は激しい呼吸により自立神経(特に交感神経)を
刺激することによって得られる効果です。
(3)は生物の授業で習った酸素呼吸によるエネルギー燃焼、
いわゆるクエン酸回路、TCA回路です。
(4)は腹筋の運動による純粋な肉体的効果です。
また、火の呼吸は仙道の武息という呼吸法に非常に似ているのですが
(激しい呼吸、下腹部の運動など)、仙道研究家 高藤聡一郎氏はこの
武息について、
「精エネルギー(後天の気)を陽気(熱エネルギー)に
変えることを目的とした呼吸法。」
と説明しています。
そう考えると、火の呼吸も神秘行用のエネルギーを高めるというよりは、
肉体的パワー(後天の気)を強化する行法と言えます。
また火の呼吸の一部のサイトには、
(5)クンダリニーを高める。
という効果を記載しているところもありましたが、これも内容をよく読んで
みると「クンダリニー=生命力」という意味で使われています。
これは神秘行でいう
(背骨をクンダリニーのエネルギーが上昇して目の前がピカッと光って
轟音が鳴り響いた。)
というクンダリニーとは言葉の定義が違います。
あくまで健康を増進するエネルギーという意味合いです。
こう考えると火の呼吸は本家クンダリニーヨガ(神秘行)から、健康に
役立つ部分を抽出した心身鍛錬法と見るのが妥当な気がします。
というより、火の呼吸の指導者たちも心身鍛錬法として教えているのですが、
それを一部の神秘行修行者たちが神秘行に効果があると勝手に解釈して
いるというのが実情なわけです。
続けて火の呼吸の効果を見てみますと、一部のサイトには興味深い
記述がありました。
(6)うつ病予防などにもよい。腹を動かせるうつ病の方はいないからだ。
セロトニンやドーパミンのような脳内モルヒネを、人体で大きく分泌して
いるのが腸内。
腹脳(ふくのう)ともいうが、昆虫の時代から脳の機能を、腹でも行っている。
そのため、お腹を鍛え自覚的にコントロールできるようになると、ホルモンが
分泌できるようになり、予防となる。
うーん、これってどうなんですかね?
うつ病に苦しんで通院・投薬を続けている人を何人か知っていますが、
彼らの中には症状をやわらげるために腹式呼吸を行っている人が
いました。
それでも通院・投薬は続けていましたから、
「腹を動かせるうつ病の方はいないからだ。」
という記述については正直疑問です。
ただ、交感神経の亢進にはドーパミン神経を活性化させる作用が
あることは医学的常識ですから、火の呼吸はうつ病に対して一定の
効果はあるのでしょう。
関連サイトの中にはさらに一歩踏み込んで、
(7)火の呼吸で脳波を変える。意識を変容させる。
なんてものもありました。
確かに呼吸の働きは自律神経に関連していてますから、先ほどの
ドーパミンのように激しい呼吸で脳波が変化するということはあるでしょう。
また、脳波が変化すれば意識状態にも何らかの変容が起きるということは
理解できます。
実際、わたしの受講者の中にも脳波を変化させることにやたらと凝っていて、
専用の音源(CD)を何枚も持っている人がいます。
初めて聞く方もいると思いますので説明しますと、ヘッドフォンを通して特定の
周波数の音を聴くことにより脳波を変化させる脳波誘導音源というものがあります。
有名な商品には、このブログでも何度か名前が出てきている20世紀後半に
アメリカで活躍したロバート・モンローという体外離脱能力者が自身の体外
離脱時の脳波を再現するために作成した「ヘミシンク」があります。
以下はヘミシンク専門サイトの説明文の抜粋です。
ヘミシンクは、特定の音の周波数を組み合わせることにより、人の意識状態の
コントロールを可能にする音響技術です。
この技術は、米国モンロー研究所が開発したもので、既に科学的に証明され、
米国において特許も取得しています。
ヘミシンクは脳の自然の機能を応用しています。
私たちの脳は、アルファ波は白日夢を見させ、デルタ波は眠りを支配すると
いったように、意識の違いに応じて、それぞれ異なった電気的動作(脳波)
を作り出します。
ヘミシンクは脳を活性化させて、現在行いたいと思う動作に必要な脳波を
出すことを助けます。
ヘミシンクRは、音の周波数を何層か重ねることによって安全に脳波を
変える手助けをします。
この音をステレオヘッドフォン又はスピーカーで聴くと、あなたの脳は第3の音
(バイノーラル・ビート)を出して反応し、希望する脳波の活動を助けます。
ヘミシンクは、音声ガイド、音楽、ピンクサウンド(意図的に入れられたノイズ音)、
その他の音響効果をバイノーラル・ビートと組み合わせることにより、高揚した
精神的、肉体的、感情的状態を体験することができます。
それぞれのCD/テープの目的となる効果を高めるために、レコーディング時に
特定の要素を念入りに選び、適切なヘミシンクRの周波数と統合させております。
以上の文章を読んで分かるように、初期のヘミシンク音源は体外離脱を
目的としていたのに対して、現在はいろいろな種類を発売して購買層の
拡大に努めているようです。
企業としては正しいあり方ですね。
わたし個人の体験としてはヘミシンクを使って意識(脳波)が落ちていく
感覚がありますし、それとともに全身の気感が変化する様子も
自覚できます。
ですから、脳波誘導音源に一定の効果があることは否定しません。
ただ、脳波を変えることが即神秘行の向上につながるかといえば、
それは疑問です。
以前、熊本県の男性受講者Mさんという方がいて、この人は
わたしの指導を受け続ける過程で体外離脱能力が急激に
覚醒しました。
一口に体外離脱といってもいくつかのパターンがあるのですが、
Mさんの能力は本家ロバート・モンロー型の本格派でした。
全身が帯電感とともにエネルギーの輪に包まれてアストラル体ごと、
意識がスポッと抜けてリアルに辺りを見たり移動できるわけです。
「この前受講した日はエネルギーが上がって、1日5回、
体外離脱できました。」
という報告を聞いた時は、さすがに唖然としました。
わたしから見ても体外離脱能力は特Aクラスです。
しかし、このMさんはロバート・モンローの事を知りませんでした。
そこでわたしがモンローの著書やヘミシンクを紹介したところ、
1枚買って試したそうです。
(たしかフォーカス10だと思います。)
そこで感想を聞くと、
「ヘミシンクを聴くと体が重くなって、かえって体外離脱できませんでした。」
と言っていました。
脳波誘導音源でモンローと同じ脳波にしたからといって、みんなが
同じように体外離脱できるわけではないということです。
確かに瞑想の達人や、いろいろな神秘行を長年行ってきた人の脳波を
調べれば、一般人とは違う波形かもしれません。
しかし、同じ脳波になったから、同じ能力を使えるということはないわけです。
そこには、前回の記事で書いたようにエネルギーという視点がすっぽり
抜けています。
実際に体外離脱用のヘミシンクを毎日聴いて、その上高いお金を払って
アメリカのモンロー研究所に行って泊りがけで専用のヘミシンクブースに
入ってセッションを受けても体外離脱を全く体験できない人がいます。
逆に、Mさんのようにヘミシンクを聴かない方が1日5回も体外離脱
できる人間が存在します。
このようにエネルギーの個体差を全く考慮に入れず、脳波さえ変えれば
誰でも同じような能力が発現して、神秘行が向上すると考えるタイプが
存在します。
彼らは太極拳や立禅などで肉体的パワーを強化はしませんが、
個人のエネルギー差を無視して、脳という肉体の一部にやたらと
こだわります。
このようにひたすら脳波の変化という物質的な成果のみで神秘行が
達成できると考える人たちを観察していると、脳という肉体にこだわる
ある種のマッチョ志向に見えてきます。
わたしはそんな彼らを
「キン肉マンタイプ・脳バージョン」
と呼んでいます。
ただ、ここで誤解して欲しくないのは、ヘミシンクに効果がないと
いうわけではありません。
例えばわたしが指導していて、
周天法で気脈が開いてエネルギーレベルも高まったけれでども、
逆に意識のコントロールがうまくいかない。
というタイプの人がいた場合、意識が変化する感覚を体感させるために、
ヘミシンクのような脳波誘導音源を受講者に勧める場合があります。
また、火の呼吸についても上手く神秘行に組み合わせれば有効な場合が
あります。
要するに問題は、火の呼吸や脳波誘導音源(ヘミシンク)の性質を考えずに
何でも手当たり次第に行えば神秘行に効果があると解釈して利用する側に
あるわけです。
なお、記事中に出た火の呼吸・脳波誘導音源の神秘行への有効な利用法、
受講者Mさんの体外離脱についてこれ以上書くのはやめておきます。
というのは、このブログの記事はブレイン・ストーミング的な感覚で、
文章の自然な流れに任せて書いているのですが、最近、受講者の
方から、
「以前、記事で○○について説明すると書いていましたが、
あの話の続きはどうなっているんですか?」
「いつになったら続きを書くつもりなんですか?」
などという鋭い指摘を受けることが度々あるようになりました。
「キン肉マン」の作者のゆでたまごは、過去の話を読み返すことは一切せずに
流れに任せて描くことをモットーにしているそうで、以前の話で書かれた
エピソードがすっぽ抜けることがよくあります。
一番印象的だったのは、ウォーズマンが超人オリンピックの
キン肉マンとの決勝戦前に控え室でヒゲを剃っていて、
試合に負けてマスク取ったら、実はロボ超人でヒゲが無かったという
思いっきり矛盾したエピソードです。
(父親が機械超人で、母親が人間だから息子のウォーズマンは
中間のロボ超人だそうです。)
ホント、行き当たりばったりでストーリー考えているんでしょうね。
※厳密には「キン肉マン」の原作者「ゆでたまご」は、ストーリー担当の
「ゆでたま」と、作画担当の「ご」に別れていますから、行き当たり
ばったりなのは「ゆでたま」の方です。
わたしも他人のことを(キン肉マンタイプ)などとと書いてきましたが、
知らないうちに自分自身は
(ゆでたまごタイプ)
になっていたわけです。
次回からは出来るだけ寄り道しないで記事を書きます。
※次回の記事更新日は1月1日になります。

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