日本の自殺率の高さについては、メディアでたびたび話題に上がります。

WHOの調査によれば、世界的にも40秒に1人が自殺している計算になるそうです。

今回は『The Richest』の記事を参考に、世界で最も自殺率の高い国トップ10をまとめました。表面的にはわからない、各国の影の部分が見えてくるかもしれません。

■10位:ベラルーシ(10万人あたり20.5人)

ベラルーシ国内では、自殺が死亡原因の第2位となるほどの社会問題となっています。

ソ連末期の1930年代から上昇し、崩壊後のいまは特に45~64歳の男性の割合が増加しています。

過去35年間で自殺率の改善が見られた唯一の時期がノンアルコールキャペーン中だったことをふまえても、労働者層における飲酒と自殺に強い相関関係があることは否めません。

■9位:ラトビア(10万人あたり20.8人)

1990年代半ばから減少してはいますが、いまだに自殺率は高い状況です。交通事故や殺人よりも割合は高く、主に40~49歳の男性の自殺者が多いそうです。

自殺の原因となる要因としては、アルコール、失業や精神的病気など、女性よりも男性の方が影響を受けそうな事項ばかり。失業率とアルコール依存症の割合が高い限り、高い自殺率は維持されることになるでしょう。

■8位:スリランカ(10万人あたり21.3人)

計算上では1年間に4000人が自殺しており、1日あたり11人にものぼります。貧困や失業、借金などの生活苦が多く、特に割合が高いのは15~44歳の男性。

1970年代は10万人に19人、1980年代は33人と上昇していましたが、2000年代に入ると少し落ち着きを見せはじめました。政府としては未だ主要な社会問題として、解決へ尽力しています。

■7位:日本(10万人あたり21.4人)

日本は、先進国のなかでは稀な自殺率の高い国。

約70%の男性に自殺衝動があるといわれているため、潜在的に自殺する可能性がある人はさらに数多くいると考えられています。おもな要因は経済的困窮、社会的圧力やうつ病などの精神疾患です。

政府も対策を行ってきましたが、いまだ抜本的な解決には至っていません。

■6位:ハンガリー(10万人あたり21.7人)

他の国とくらべ、女性の割合が高いのが特徴。ただ、上昇率だけを見ると男性の方が問題を抱えているといえるでしょう。特に、30~60歳で離婚や死別で独りきりになった男性の割合が多くなっています。

要因としてはアルコールの過剰摂取や失業、タバコの消費量も関連があると考えられています。現在の政府は対策として、抗うつ病薬の処方など抑止力を強めていますが、今後はより深いメンタルサポートが鍵となりそうです。

■5位:スロベニア(10万人あたり21.8人)

旧ユーゴスラビアのこの小国は、200万人以上の人口のうち年間400人以上が自殺します。今世紀に入る前は年間600人でしたので、少しは低下が認められます。

自殺原因の3分の1はアルコール摂取と関係しており、最大の危険因子です。2003年以降、新アルコール規制法により飲酒開始年齢は18歳と制定され、アルコール消費量は12%減少し、自殺率も30%から今日の数字にまで低下しました。

■4位:カザフスタン(10万人あたり25.6人)

世界で起こる自殺のうち3%はカザフスタンで発生しています。若者の割合が高いのが問題で、特に14~19歳の若い女性は世界で2番目に高くなっています。

今世紀に入り、若者の自殺率は23%も増加しました。インターネットなど新技術の普及によって生活は便利になりましたが、格差は顕著になり、いじめも頻発したからです。

■3位:ガイアナ(10万人あたり26.4人)

南アメリカに位置するガイアナでは、経済的困窮が原因で、除草剤などの農薬を飲んで中毒自殺をする男性が数多くいます。

アルコールに溺れるお金もなく、日々の鬱憤はDVなどで発散してしまっているようです。NPO組織などが問題解決にあたっています。

■2位:韓国(10万人あたり28.1人)

2012年に10万人あたり28.1%という不名誉な記録を打ち立てましたが、前年比11%は減少しました。主要な要因は、精神的・肉体的苦痛、経済的困難や家族の問題などで、多くが首吊りや中毒死を選んでいます。

高齢化社会となっても、伝統的に両親の介護は子どもが自分ですることが多く負担となっています。親世代が子供世代の負担を軽減できるように、対策を考えていかねばなりません。

■1位:リトアニア(10万人あたり31人)

ソ連崩壊後、大規模な社会の激変もあり、いまだに大きな経済問題を抱えています。

1998年のロシア金融危機と世界的な金融危機は、リトアニアの経済に大打撃を与え、特に男性の自殺率に影響しました。35~54歳の貧困男性で家族を扶養しているにも関わらず仕事のない男性もおり、アルコール依存に逃げ、自殺を選ぶ人も多いのです。

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悲劇的な10カ国。表面だけを見ていてはわからない問題が、自殺率という1つの数字を取り上げるだけで見えてきます。幸せに生きるために大切なことはなにか、もう1度考えてみませんか?

 

http://suzie-news.jp/archives/13061