長期間にわたって気分が晴れず、何をしても楽しいと感じないうつ状態と、逆にやたらとハイになって活動性が高まる躁状態とを交互に繰り返す気分傷害は、一般に「躁うつ病」と呼ばれていますが、医学的な正式名称は「双極性障害」です。双極性障害は、躁状態の症状の程度によって、さらに「双極I型障害」と「双極II型障害」の2つに分類されます。

一般に「躁うつ病」と呼ばれている「双極性障害」、うつ状態との違いはなに?


◆双極I型とII型の違い
双極I型は明確な躁状態が現れるのが特徴で、躁状態の歳には気分の異様な高揚感が続きます。気が大きくなる、睡眠を取らなくても元気なまま過ごせる、極端に多弁になって1日中しゃべりまくるなどの行動が見られる一方で、攻撃的になって突然怒り出したり暴力をふるったりすることもあります。毎日が楽しくエネルギッシュで仕事にも積極的にとりかかる反面、注意散漫になって1つのことに集中することができないという特徴があります。これに対し双極II型の場合は、I型同様に周囲から見ても異様に高揚しているものの、仕事や人間関係に支障をきたすほどではない「軽躁状態」であることが特徴です。


◆躁状態とは真逆のうつ状態
一方のうつ状態は、何とも表現しがたいうっとうしい気分が何日も続くという「抑うつ気分」と、すべてのことに興味が持てなくなり、何をしても楽しい・うれしいという気分が持てない「興味・喜びの喪失」が主な症状です。このいずれかもしくは両方の症状があり、さらに早朝に目が覚める、食欲の減退/増進、体重の増減、疲れやすい、やる気が出ない、自責感、自殺願望といった症状のうち、5つ異常が2週間以上出ている状態が「うつ状態」です。双極性障害の患者は、I型・II型ともに自分が躁状態の時にはそのことを自覚しにくいため、うつ状態の時に具合が悪いと感じ、「自分はうつ病だ」と思い込むケースも多いようです。


◆うつ状態と躁状態の移行
双極性障害では、最初の病相から次の病相に移行するまで、約5年の間隔があります。ここで言う病相とは、「うつ状態」か「躁状態」のどちらかを指します。また、2つの病相の間に躁でもうつでもない健常な状態が見られることもあります。しかし、状態が安定しているように見えるからと言って躁うつ病を放っておくと、躁状態とうつ状態の切り替わりのサイクルが次第に短くなり、「急速交代型」と呼ばれる年間に4回以上病相が変化する症状へと進行すます。こうなると、治療薬が効きにくくなってしまう危険性があります。


◆双極性障害の治療
とはいえ、両極性障害は早期に正しい治療を受ければ、症状をコントロールしながら正常な生活を送ることが可能です。躁うつ病は単なる心の悩みではなく、脳の疾患であることがわかってきています。したがって、カウンセリングだけで治癒することはありません。しかし、治療がうまくいくように精神面でのサポートも必要です。治療は薬物療法と疾患教育(患者が自分の疾患を理解すること)、心理療法を組み合わせて行われます。
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