ブログネタに集中していると思いますので、深夜更新用記事は以前yaplogで公開したP3P荒ハム記事を抜擢して掲載したいと思います(・∀・)


 久し振りに読んでみて「こんなモノも書いていたわねぇ」と懐かしくも、相変わらず拙い文章だなと反省もしてたりします(;´▽`A``


 でも、結構気に入ったりもしているヤツです。


 今回の掲載の為に、一部弄っているところがあります。


 もし良かったら、yaplog版と読み比べてみて下さいw


 では、どうぞ♪


  


-陽の当る大通り- 


 久し振りに体調を崩し、公子はまる2日間寝込んでいた。
 学校生活と連日のタルタロス探索が続いたのと、台風の雨に打たれたせいで身体が悲鳴を起こし、倒れてしまった。
 幸い学校が休みだったのでゆっくり休む事ができたが、台風のせいで文化祭が流れてしまい予定が開いてしまい、何もする事がなく寮でのんびり過ごしていた。
 ゆかりは文化祭が流れて一人、浮かれていたが………。


 台風も過ぎ去り、澄み渡った青空が広がる9月のある日、すっかり体調も良くなりラウンジのソファーに座って読みかけていた書籍を読んでいるところを同じ学年の風花に声をかけられた。
「公子ちゃん、具合の方は大丈夫?」
 風花は公子の隣に座り、持っていたノートパソコンの電源をつけてインターネットに接続をしながら辰巳ポートイランド駅にある映画館で映画イベントがある事を教えた。
「せっかく体調も良くなったし、行っておいでよ」
 風花に言われて暫く考えた後、行ってみる事にした。

 公子は一人で行っても面白くないなと思い、誰かと一緒に行く事を思いついた。
―誰を誘おう………
 ゆかりは今日は部活の友達と遊びに行くと言っていたし、順平はチドリって子のところへ行っている、美鶴は忙しそうだし、真田を誘ったらトレーニングに付き合わされるしと、あれこれ考えていると誰を誘ったらよいのか分からなくなってきて、隣にいた風花にこれからの予定を聞いてみた。
「ごめんね。この後、夏紀ちゃんと予定があるんだ」
 風花は申し訳なさそうに断った後、ある人物の名前を言った。
「荒垣先輩誘ったら?公子ちゃん、荒垣先輩と仲良さそうだし」
 仲良さそうだしと言うところに少しばかり動揺しながらも、努めて感情を出さないようにしながら誘う事を躊躇っていると、風花の言葉に後押しされて、公子は2階にある荒垣の部屋へ行った。
 部屋のドアの前に立つと、緊張を解すように深く一呼吸して、ノックした。
「誰だ?」
 ドア越しに声が聞こえてきたので、公子は自分が来たことを伝え、ドアが開くのを待った。
 やがてドアが開くと荒垣はいつもとは違う格好で公子の前に出た。
「ごめんなさい………。もしかして、まだ休んでましたか?」
 公子は荒垣の格好を見て、申し訳なさそうに上目遣いで荒垣の表情を眺めながら言って、これからの予定の都合を聞いた。
「予定はとくにないが、どうかしたのか?」
 荒垣は後輩に何の用か尋ね、入り口の壁に凭れてじっと見つめた。
「今日、映画館でイベントがあるみたいなんです。良かったら一緒にどうかなぁっと思って………」
 公子は荒垣に見つめられるのが少し恥ずかしくなり、視線を少し逸らせて言った。
「俺なんかより、他にも誘う奴がいるだろうに………」
 荒垣は少し困惑した表情で手を首へ持っていき、憎まれ口を叩いた。
「ごめんなさい、嫌なら別にいいんです………」
 公子の悲しげな表情を見て、荒垣はばつが悪そうに表情を歪め、吐き捨てる様に呟き一緒に行く事を伝えた。
 一緒に行ってくれる事を知った公子は嬉しそうに笑って荒垣の部屋を後にした。

 自分の部屋に戻って公子は部屋のクローゼットを開けて、何を着ていこうか悩んだ。
 ベッドの上にある程度のトップスとボトムを並べ、コーディネートを考えていると携帯の着うたが流れてきた。
 携帯の液晶を見ると、委員会で一緒に活動をしている長谷川佐織からで、これから何処かに行かないかと誘われたのだか、用事があるからと丁重に断り、着ていく服選びに専念した。
「先輩のスタイルって、結構レトロ系なんだよね………」
 公子は荒垣がいつも着ている服装を思い浮かび、以前、休日にゆかりたちと買い物に行った時に買った60年代風のレトロ感あふれるミニ丈のサックドレス風の藍色のワンピースと七部袖の白のカーティガン、そして、赤のローヒールのパンプスにした。
 服を着替えた後、部屋にある鏡の前でいつもの様に髪を束ねようとしたが、ふと手を止めて何やら考え込んだ。
「………たまには、髪下ろすのもいいよね」
 鏡の前の自分に言い聞かせる様に髪を束ねるのを止めて、ブラシで髪を梳くだけにし、愛用しているヘアワックスをつけた。
 仕度を終え、ラウンジに行くと荒垣がいつもの様にテーラーカラーのダブルボタンのロングコートに黒のニット帽を深く被り、ブーツカットのボトムのスタイルで公子が来るのを待ちながら、コロマルの相手をしていた。
「お待たせしました」
 振り返ると、いつもと違う公子の雰囲気に見とれ、荒垣は暫く言葉を失った。
「荒垣さん?」
 公子に呼ばれ、我に返った荒垣は、何も告げずに外に出た。
「じゃあ、コロマル行ってくるね」
 公子はコロマルの頭を優しく撫でながら言って、荒垣の後を追った。

 休日ともあって、ポートアイランド駅から続く大通りはたくさんの人であふれかえっていた。
 二人は人通りの多い地を颯爽と歩いて行き、映画館へ向かった。
 映画館へ向かう最中、荒垣は一言も喋らず、ただ、ひたすら歩いて行っただけなのだが、公子にとっては荒垣の隣で一緒に歩いて行くだけでも嬉しかった。
 映画館着くと入館料が安くなる事もあり、利用する客が多く、特に家族連れが多かった。
「すみません、先にパンフレット買ってきてもいいですか?」
 公子は一声かけて、ロビーにある売店へ行き今回観る映画のパンフレットを購入した。
「お前、律儀だなぁ………」
「そうですか?観に行った映画のパンプはだいたい買ってますよ。それより、中へ行きませんか?」
 荒垣が言った事に、公子は嬉しそうに微笑みながら早く中へ入る様に促した。
 中へ入り上映が始まるまでの間、二人は他愛ない話をして時間を待った。
「携帯の電源切らなきゃ」
 公子はバッグの中から自分の携帯を取り出し、電源を切ってスクリーンの方を向いた。
 上映が始まり、会場に静寂が訪れ、二人はスクリーンに集中した。

「話題があっただけあって、結構面白かったですよね」
 上映が終わり、二人は駅の広場にいた。
「それに、荒垣さん感極まって泣いていたしね」
 公子のからかいに荒垣はぶすっとした表情で駅の方へ向かって歩いた。
 照れを隠している姿を見た公子は思わず吹き出し、先に行っている荒垣を追いかけ腕を取った。
「大丈夫、皆には言わないですよ。それより、行きたい所があるんですが………。いいですか?」
 公子はクスクスと笑った後、荒垣に行きたい所があると言って大通りの方へ向かった。
「行きたい所って、何処へ行くんだ?」
 荒垣の問いに笑って応じただけで、先に大通りの方へ向かった。
 公子が向かった先は生活雑貨や服飾を取り扱う店であった。
 店内にはシンプルな物からファンシーな物まで幅広く取り扱っており、たくさんの女性客やカップルで賑わっていた。
 荒垣は最初、店内に入るのに抵抗を感じたのだが、売場にある調理器具や調理器物を見て興味を持ち、台所雑貨の方に足を運んだ。
 有名な外国製メーカーのホーロー鍋や包丁など、さまざまな器具や器物を手に取り、使い具合や感触を確かめていた。
「ここにいた」
 後ろから声が聞こえてきたので声のする方へ振り向くと公子が小さな紙袋を持って立っていた。
「荒垣さん料理するから、ここのコーナー気になるんじゃないかなぁって思って………」
 そう言って公子は荒垣の隣に立ち、シェルフ棚に陳列されていたホーロー鍋を見て聞いた。
「これって、確かフランス製の鍋なんですよね?1万位するんじゃなかったですっけ?」
 公子の質問に荒垣は分かりやすいように説明をし、別の棚に陳列されていた食器を見て呟いた。
「それにしても、この店は凄ぇなぁ………。器具や器物だけでなく、食器もいいのそろえてるじゃねぇか………」
 荒垣がこの店を気に入ってくれた様で公子は来て良かったと思った。
「それより、お前ぇは何しにここへ来たんだ?」
 荒垣に聞かれて、公子は持っていた紙袋の封を開けて中を見せて言った。
「ここ、入浴剤やボディケアの化粧品も豊富でよく利用するんです。入浴剤を入れてお風呂に入ると癒されるし、疲れも取れますから」
 荒垣は「影時間から解放されるとコイツも普通の女子高生なんだな」と思い、表情を和らげた。
「そろそろ戻らないと、俺らが一緒いるところを見られたらあいつらうるさいだろ。特にアキと順平が………」
 愛用している懐中時計を見て、荒垣は公子に言って店を後にする様に促した。
 公子も「そうですね」と言って、一緒に店を出ようとした時、アクセサリーのコーナーでふと立ち止まってある商品をじっと眺めていた。
「どうした?」
 荒垣が公子のところへ行くと、公子は「ごめんなさい」と謝り、シルバーの土台に淡いブルーやエメラルドグリーンのストーンが散りばめられたと髪止め(バレッタ)を持っていた。
「何か綺麗だなぁっと思って………。いつもゴムで髪を束ねているから、たまにはバレッタもいいかなぁって………」
「これ、そっちに渡せ」
 荒垣が左手を出して言ってきたので、公子は不思議に思いながらバレッタを渡した。
 バレッタを手渡された荒垣はその足でレジの方へ行き、会計を済ませ、何やら店員に話していた。
「お待たせしました」
 店員に声をかけられ、荒垣はカウンターへ行き小さな包みを受け取り、店を後にした。
 荒垣の後を追い、公子は何か言おうと口を開きかけた時、荒垣から小さな包みを渡された。
「貰っとけ」
 荒垣は短く言葉を口にした後、足早に駅の方へ向かった。
「先輩、待って!!これって………!?」
 公子は先に行く荒垣を呼びとめ、貰った包みの事を聞いた。
「いつも頑張っているお前にお対するご褒美だ。……それに、誕生日に渡したくても、お前ぇの誕生日なんて知らねぇしな………」
 首に手をやり、照れた様な表情を浮かべて、荒垣は公子に言った。
 公子は荒垣のはにかんだ表情を見つめた後、嬉しそうな笑顔を見せて礼を言った。
「今日は有難うございました。バレッタまでいただけるなんて、本当に嬉しいです!」
 宝物を持つ様に大切に包みを持っている公子の姿を見て、荒垣は10月のあの日の前にもう一度、公子の笑顔が見れたらそれでいいと思い、公子の歩調に合わせゆっくりと駅の方へ向かいながら今夜探索に行くタルタロスへの打ち合わせを二人で話した。



  Fin