Hep Starsの"It's Been a Long Long Time"再発 | サイケデリック漂流記

Hep Starsの"It's Been a Long Long Time"再発

It's Been a Long Long Time
Hep Stars
It's Been a Long Long Time

Hep StarsはABBAのBenny Anderssonが在籍していた、スウェーデンのビートポップグループ。"It's Been a Long Long Time"(1968)は、1965年のデビュー作から数えて6枚目のアルバムです。

これ、なんの予備知識もなく聴いたら、ちょっとびっくりするかもしれません。というのも、Associationの"Enter the Young"にはじまって、Millenniumの"5 A.M."、Sagittariusの"Musty Dusty", "Would You Like to Go", "Another Time"、Ballroomの"Spinning, Spinning, Spinning"、Tommy Roeの"It's Now Winter's Day"と、カート・ベッチャー関連曲のカバーがアルバムの半数以上を占めているからです。ということで、いちはやく日本でCD化され、ガイド本「ソフトロックAtoZ」でも紹介されていました。

本作は、カート・ベッチャー人脈のSteve Clark(Our Productionの同僚)のプロデュースのもと、1967年にロンドンで録音されています。「ソフトロックAtoZ」には、「クレジットはないが、カートが関わっている可能性は極めて高い」と書かれていましたが、アレンジにカートっぽさはなく、ホーンが加わっている曲があったりするものの、とても素直でシンプルな作りとなっています(それだけに原曲の素晴らしさが再確認できるともいえる)。おそらく、(同年の全米ツアー時に知り合った?)Steve Clarkがこれらの楽曲を彼らに紹介し、カートは直接関わっていないのではないかと思います。

いまでこそ、ミレニウムやサジタリアスは再認識されてメジャーになっていますが、当時はそれほどポピュラーな存在ではなかったはずで、「スウェーデンのビートルズ」と呼ばれた人気グループが、なぜこんなソフトロック作品を作ったのか興味深いところです(スウェーデン本国のみのリリースで、ほとんど売れなかったらしい)。・・・と思って調べてみたら、"It's Been a Long Long Time"の発売が1968年2月で、Sagittariusの"Present Tense"とMillenniumの"Begin"は1968年の7月・・・、あれっ、本家よりも先にリリースされてる! このタイムラインが事実なら、ポップ史的にも貴重なアルバムといえるでしょう。

Track Listing :
1. ENTER THE YOUNG
2. HOPE
3. 5 A.M.
4. IT'S TIME FOR A CHANGE
5. CHANGING AWAY FROM YOU
6. IT'S BEEN A LONG LONG TIME
7. MUSTY DUSTY
8. SPINNING, SPINNING, SPINNING
9. THERE IS LOVE
10. WOULD YOU LIKE TO GO
11. IT'S NOW WINTER'S DAY
12. ANOTHER TIME
Bonus Tracks :
13. SAGAN OM LILLA SOFI
14. DET FINNS EN STAD


サイケデリック漂流記