日本語大シソーラス

CASIO 電子辞書追加コンテンツソフト XS-TA03A
日本語大シソーラス・類語検索大辞典(CD-ROM版)
ブログの記事を書いていると、自分の文章力の無さ、ボキャブラリーの貧困さをつくづく思い知らされてしまいます。同じ言葉の重複を避けて、他の言葉で言い回したいときなんかもそうですが、特に最近深刻なのが「そもそも最初から言葉が思い浮かばない」という危機的な状況です。「あれはなんていうんだったっけ」という健忘症状も激しくなってきました。
そんなときに頼るのは類語辞典だったりするんですが、書籍のものだと、たとえば「美しい」という言葉をまず索引で引いて、そこに表示されているページ(複数のことが多い)をさらに引く。それでも、しっくりする言葉が見つからずに徒労に終わることが多かったりします。もっと楽に引ける、愛用の電子辞書(CASIO EX-word)には「類語例解辞典」というのが収録されているんですが、これは似た意味のいくつかの言葉の適切な使い分けを目的とした、「類語」よりも「例解」の方に主眼が置かれたもので、「言葉探し」ということではほとんど役に立ちません。
ということで、EX-word用の追加コンテンツ「日本語大シソーラス・類語検索大辞典」というものを買ってみました。で、これが評判どおりのサイケな内容で、ついつい目的の言葉を引くついでに遊んでしまって、逆に文章を書く効率が悪くなってしまいました。
ためしに「サイケデリック」で引いてみると・・・
◆変梃(へんてこ)
変梃(へんてこ) へんてこりん 変梃(へんてこ)りん へんちきりん へんちくりん 妙ちきりん 妙ちくりん; エキセントリック ストレンジ; 奇異 奇怪(きかい) 奇っ怪 奇天烈(きてれつ) きてれつ 奇妙奇天烈; 譎詭(けっき) 譎詐(けっさ); 一風変わった 風変わり ⇒色変わり ⇒変わり種 珍粉漢 陳奮翰; 異様 異様(ことざま) 異様(ことよう) 様異(さまこと) 異風 ⇒異色; 異体(たい) 異体(てい) 異形(ぎょう) ミュータント 異型 異容 ⇒異相 異装; 奇道 ⇒奇策 奇法 流儀違い ⇒流(りゅう)変わり; 妙適 珍妙 珍奇 けったい けったいな おかしい 可笑(おか)しい 可笑(おか)し気(げ) ファニー; 珍無類 珍事 珍 珍稀 珍異 珍らしい 稀; 異な物 乙な味 異な事; ⇒奇抜 奇矯 奇崛(きくつ) 奇警; 突飛 飛び跳ねる 型に嵌まらない 振るっている 奮っている; 頓狂 頓狂(とんきょ) 頓興 素頓狂(すっとんきょう) 風狂・瘋狂; 突拍子もない 飛拍子(とっぴょうし)もない 斗柄(とひょう)もない べらぼう 便乱(べら)坊 可(べら)坊 無茶苦茶 ⇒◇とんでもない; 拈(ひね)る 横と出る 横紙(よこがみ)破り ⇒人を食う 交わす; 逆を取る 逆手に取る 逆手を打つ; 下手物(げてもの) 悪趣味; キッチュ ポップ パンク ザズ サイケデリック サイケ グーフィー シュール; 奇形・畸形・畸型 ⇒歪(いびつ) 片端(かたわ)
◆感覚異常
妄覚(もうかく) 感覚異常[医]; 幻覚 幻感(げんかん) ハルシネーション 幻覚症[医]; ⇒幻惑・眩惑 惑乱 惑(まど)い; 錯覚; ⇒不思議 ⇒◆アンリアル;
【リスト】複合幻覚[医]; ⇒幻視 眼の錯覚; 幻影 イリュージョン; 夢幻(ゆめまぼろし) 夢幻(むげん) 幻夢 ⇒夢現(うつつ); 幻を見る 幻出 ⇒幻(まぼろし); ⇒蜃気楼 空中楼閣; 幻想 迷妄 ⇒妄想 ファンタジー; 幻聴; 幻味; 幻嗅; 幻触 体感幻覚; 臓器幻覚; デジャビュ デジャヴュ 既視感 既視体験; 感覚記憶[医] 感官記憶[医] ⇒残像; ⇒サイケデリック; ⇒超常現象
◆奇想
奇想 奇想天外 奇想天外より落つ 突飛な思い付き;
【形容】奇々怪々 ⇒奇怪 奇中の奇; 風変わり 奇妙奇天烈 きてれつ ⇒変梃(へんてこ); ⇒ミステリアス ミスティック; 常軌を逸する 浮世離れ ⇒常ならず; サイケデリック クレイジー キッチュ; ⇒幻想 幻想的 夢物語 ファンタジー ファンタスティック ファンシー メルヘンチック ドリーミー
◆極彩色
極彩色 ⇒多彩 カラフル; 色尽くめ 万艦色; 濃彩 濃き色;
【形容】煌(きら)びやか 煥発 金ぴか ぎらぎら; 派手 派手やか 派手派手しい; 毒々しい 毳毳(けばけば)しい; サイケな サイケデリック; 殉爛; ショッキング;
【関連語】虹 孔雀 ⇒カレイドスコープ; 総天然色 テクニカラー
一般的な類語辞典と違って言葉の意味や用例は書かれていないのですが、その関連する語句が織り成す「言葉のタペストリー」の中に、図らずもサイケデリック(ミュージック)シーンに特有の胡散臭さ、チープさ、百花繚乱さ、みたいなイメージまでもが見事に捉えられています。これは、たとえば広辞苑の、「サイケデリック【psychedelic】 幻覚的。幻覚剤によって生ずる幻覚状態に似たさま。この状態を想起させる極彩色の絵・デザインや音楽などについてもいう。」という明解な語義では得られないものでしょう。
ちなみに、◆のグループは意味の近い言葉によってまとめられた「小語群」で、これが14,000群もあります(「サイケデリック」は上記の四つの小語群に属している。小語群はさらに上位の1044のカテゴリーに分類されている)。すべての語群に含まれる語句は延べにして32万語(個別でも20数万語)、私が所有する書籍の類語辞典は約5万語なので、圧倒的に語彙の量が違います。⇒はその語句が他の語群にも収録されていることを示し、電子辞書だとペンタッチなどで一発でジャンプできるので、つい次から次に飛んで行って「言葉の宇宙」を彷徨ってしまいます。
そういえば、たしかにサイケファンは「へんてこりん」なものをこよなく愛する人種といえるかも・・・。