Crow | サイケデリック漂流記

Crow

Evil Woman Best of Crow
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Evil Woman Best of Crow

Black Sabbathのデビューシングル"Evil Woman"(*1)が、彼らのオリジナルではなくカバー曲であるというのは、それほど知られていないのではないでしょうか? そのオリジネーターであるCrowはミネソタ州ミネアポリスの5人組。1969年のシングル"Evil Woman (Don't Play Your Games with Me)"はビルボード19位のヒットを記録しています。

"Evil Woman"が収録されているデビューアルバム"Crow Music"(1969)のジャケット(下)が象徴するように、Steppenwolf系統の「バイカー御用達ハードロック」といった趣きの音。その傾向は2ndの"Crow by Crow"(1970)で固まってくるのですが、1stはまだ方向性が定まってないような感じで、いい塩梅にダメっぽいアルバムになっています。

中にはかなりドゥームな雰囲気の曲もあって、教会の鐘をイメージした「カーン、カーン」という効果音など、「あ、これぜったいサバスが影響受けたな」という発見があったりして、なかなか興味深いです。"Evil Woman"はシングルヒットを狙ったレコード会社が、バンドの意思に反してホーンアレンジを付け加えたそうですが、それが奇しくも、元祖ドゥームロックナンバーであるGunの"Race with the Devil"みたいになってしまったのも面白いところ。

このあと、3rdの"Mosaic"(1971)というアルバムを出していますが、ふたたび内容が拡散してしまった感があり、才能はありながらアルバム作品的には恵まれないバンドという印象です。残念ながら、個々のアルバムはCD化されていないようで、上に挙げたベスト盤も廃盤になって久しい模様です。("Crow Classics 1969-1972"というコンピCDがオフィシャルサイトで販売されています。)

*1
英国盤1stアルバム"Black Sabbath"(1970)に収録。米国オリジナル盤には収められず、代わりに"Wicked World"が収録されている。


Crow Music


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