南米サイケ特集 その5 | サイケデリック漂流記

南米サイケ特集 その5

Apocalipsis
もひとつメキシコのバンド。1968年の唯一のアルバム"Experimento No.1"は、Flying KarpetsみたいにちょっとオンチなR&Bカバー(Sam & Daveの"Hold On I'm Comin'")で始まりますが、こちらはなかなか強力な脱力系ガレージパンクです。

これもKaleidoscopeみたいにボーカル(in英語)が良くて、ファズギター+チープオルガンも強烈。Standellsの"Try It"、ジミヘンの"Fire"、Strawberry Alarm Clockの"Incense and Peppermints"などのカバーも独自の個性で料理してるし、音は典型的なオルガン・ガレージパンクなんですが、そのユルユル具合が南米っぽくて素晴らしい。


Apocalipsis
Apocalipsis (リンクはFreak Emporium)



Ladies WC
ベネズエラのヘヴィサイケ4人組。1969年制作の唯一作のオリジナルは激レア盤で、わりと最近Shadoksから再発されて話題になっていました。曲も演奏もハンパでなく素晴らしくて、なにも知らされずに音だけ聴かされたら、百人が百人ともアメリカのバンドだと思うでしょう。

ほとんどの曲を書いて歌ってるStephen Scottというのがアメリカ人(南米大陸を旅していたヒッピー)ということで、ほとんど彼の才能によるものなのでしょうが、そのへんのメジャー感・王道感のために、「南米サイケ」というより、普通に60sサイケの名盤として聴くべきアイテムかもしれません。メランコリックなメロウチューンに鳴り響くファズギターやオルガンの音色なんかも絶品。


Ladies WC
Ladies WC (試聴はこちら



Embrujo
チリのバンド。「その1」で紹介したKissing Spellのメンバーが名前を変えて1971年に発表したアルバムで、演奏も内容も"Los Pajaros"より洗練されたような印象です。サイケデリック的には「洗練された」というのは必ずしも褒め言葉にはならないのですが、本作は全編スペイン語で歌われていて、南米ムードはむしろ濃厚になっています。

Kissing Spell同様、ドリーミーでメランコリックなメロウサイケの逸品で、こちらも素晴らしい内容です。ハードだったり、プログレッシブロック的な感触の曲もありますが、特に"A Tu Carita"などのフォーキーな「南米ルーツロック」みたいな曲や、「チリアンポップ」的な親しみやすくメロディアスな曲が印象的。


Embrujo
Embrujo (リンクはFreak Emporium)