~最後の祈り ~ (最終章)
ベッドで寝息を発てて眠るアレックスの額に、二人は代わる代わるキスをしました。
「お休みなさい・・・。
良い夢を観てね・・・」
そして二人は顔を見合わせ、黙ってお互いの温もりを感じていました。
ソファーに座ると同時に、エリーが早口で言いました。
「眠たいのを我慢して、パパの帰りを待っていたのよ。
パパが大好きなのね。
私の傍からも離れないの・・・。
本当に可愛い子だわ」
エリーが早口になる時は、何かを期待している事を暗示していました。
そんな姿が可笑しくて、笑うのを堪えてジッと聞き入りました。
「私の事も大好きだって・・・。
バッド・・マンより好きだって言うのよ!」
「だろうね・・・」
「そうなの。
それってとっても素敵な事でしょう!!
あんなに大切にしているバッド・マンに勝ったのよ・・・。
まだ会ったばかりなのに、人見知りもしないなんて・・・。
パパに似た少し変った子だわ!」
エリーは嬉しさを隠して、肩をすくめて笑いました。
「あの子は分かっているんだ・・・。
君が僕にも大切な存在だってね。
僕が始めてあの子と会った時もそうだった・・・。
ママの想いを感じて・・・・・・」
そう言うと、そのまま言葉を押し留め、エリーをシッカリと抱き締ました。
「僕達を認めてくれたんだよ。
僕の花嫁になっても良いよ・・・ってね。
エリー・・・。
もう迷わないで・・・」
「本当に・・・。
本当にこんな私で良いの?!」
エリーが王子を突き放して、人差し指でいつもより強く強く押しました。
王子はその手を取ると、そっとキスをしました。
そして・・・。
エリーの耳元で囁きました。
「結婚しよう。
もう君を離さないよ!!」
「嗚呼・・・。
スコット・・・。
愛しているわ!!」
「僕はね・・・。
これを宮殿に取りに行ったんだよ。
君の心が変らないうちにね。
この指輪は皇太子妃に与えられた愛の証なんだ。
僕が生まれた時に作られたものなんだよ・・・
ずっと王室の保管庫で、この日を待っていたんだ」
ズボンの後ろポケットから、無造作に小さな赤い箱を取り出しました。
そして、七色に輝くリングを手のひらで包み込みました。
「そんな大切なものを私に・・・」
エリーが驚いて、思わず両手を後ろに隠しました。
「君の涙には負けるけど、美しいだろう・・・」
エリーの溢れる涙が止まらなくなりました。
「愛しているんだ!
エリー・・・」
「私もよ!!
でも、私が皇太子妃に成れるかしら・・・?」
「君らしくないね!
強気のエリーは何処に行ったんだい?」
「だって、何も知らないのよ。
貴方を愛していること意外は・・・。
本当に何にも・・・」
「大丈夫だよ。
僕が君を守って行く!
誓っただろう・・・?
何が在っても共に歩むんだよ・・・。
何も心配しないで!!
二人で乗り越えられないものなんて在る訳ないだろう。
僕達は無敵だ・・・」
静寂の中で時が流れて行きました。
エリーの後ろで隠れていた手が、静かに王子の前で震えていました・・・。
王子はその瞬間を待っていたように・・・。
愛しいエリーの前にひざまずき、皇太子として力強く宣言しました。
皇太子として未来予想図を確かなものにする為に
この指輪を君に捧げよう!!
その時
幾つもの 星が虹色に輝き
アレックスの寝顔を 優しく照らしました