王冠の愛の物語(その105) | 時空を超えて SCOTT WALKER の世界へ

時空を超えて SCOTT WALKER の世界へ

スコット・ウォーカーの持つ不思議な魅力は、今も変わらない宝物です。
彼の音楽、生き方に心躍らせる毎日です。
そんなスコットの世界を私なりに描いてみたいです。



~最後の祈り ~ (最終章)





ベッドで寝息を発てて眠るアレックスの額に、二人は代わる代わるキスをしました。




「お休みなさい・・・。

良い夢を観てね・・・」




そして二人は顔を見合わせ、黙ってお互いの温もりを感じていました。


ソファーに座ると同時に、エリーが早口で言いました。




「眠たいのを我慢して、パパの帰りを待っていたのよ。

パパが大好きなのね。

私の傍からも離れないの・・・。

本当に可愛い子だわ」




エリーが早口になる時は、何かを期待している事を暗示していました。


そんな姿が可笑しくて、笑うのを堪えてジッと聞き入りました。




「私の事も大好きだって・・・。

バッド・・マンより好きだって言うのよ!」




「だろうね・・・」




「そうなの。

それってとっても素敵な事でしょう!!

あんなに大切にしているバッド・マンに勝ったのよ・・・。

まだ会ったばかりなのに、人見知りもしないなんて・・・。

パパに似た少し変った子だわ!」




エリーは嬉しさを隠して、肩をすくめて笑いました。




「あの子は分かっているんだ・・・。

君が僕にも大切な存在だってね。

僕が始めてあの子と会った時もそうだった・・・。

ママの想いを感じて・・・・・・」




そう言うと、そのまま言葉を押し留め、エリーをシッカリと抱き締ました。





「僕達を認めてくれたんだよ。

僕の花嫁になっても良いよ・・・ってね。

エリー・・・。

もう迷わないで・・・」




「本当に・・・。

本当にこんな私で良いの?!」




エリーが王子を突き放して、人差し指でいつもより強く強く押しました。


王子はその手を取ると、そっとキスをしました。


そして・・・。


エリーの耳元で囁きました。




「結婚しよう。

もう君を離さないよ!!」




「嗚呼・・・。

スコット・・・。

愛しているわ!!」




「僕はね・・・。

これを宮殿に取りに行ったんだよ。

君の心が変らないうちにね。

この指輪は皇太子妃に与えられた愛の証なんだ。

僕が生まれた時に作られたものなんだよ・・・


ずっと王室の保管庫で、この日を待っていたんだ」




ズボンの後ろポケットから、無造作に小さな赤い箱を取り出しました。


そして、七色に輝くリングを手のひらで包み込みました。




「そんな大切なものを私に・・・」




エリーが驚いて、思わず両手を後ろに隠しました。




「君の涙には負けるけど、美しいだろう・・・」




エリーの溢れる涙が止まらなくなりました。




「愛しているんだ!

エリー・・・」




「私もよ!!

でも、私が皇太子妃に成れるかしら・・・?」




「君らしくないね!

強気のエリーは何処に行ったんだい?」




「だって、何も知らないのよ。

貴方を愛していること意外は・・・。


本当に何にも・・・」




「大丈夫だよ。

僕が君を守って行く!

誓っただろう・・・?

何が在っても共に歩むんだよ・・・。


何も心配しないで!!

二人で乗り越えられないものなんて在る訳ないだろう。


僕達は無敵だ・・・」





静寂の中で時が流れて行きました。




エリーの後ろで隠れていた手が、静かに王子の前で震えていました・・・。




王子はその瞬間を待っていたように・・・。





愛しいエリーの前にひざまずき、皇太子として力強く宣言しました。







皇太子として未来予想図を確かなものにする為に




この指輪を君に捧げよう!!








その時







幾つもの 星が虹色に輝き




アレックスの寝顔を 優しく照らしました