王冠の愛の物語(その73) | 時空を超えて SCOTT WALKER の世界へ

時空を超えて SCOTT WALKER の世界へ

スコット・ウォーカーの持つ不思議な魅力は、今も変わらない宝物です。
彼の音楽、生き方に心躍らせる毎日です。
そんなスコットの世界を私なりに描いてみたいです。

~愛の決断~







恋人達の目の前には、巨大な嵐が迫っていました。


さっきから、フロント・ボックスの携帯が深刻な音を発て続けていました。




「ピーター。

もう始まっているんだね・・・。

意外と早かったな。


うん・・・。

間違い無いよ。

僕だよ」





王子はハンドルを握りながら、ピーターの声に顔を強張らせました。





「殿下。

マーブルにも、マスコミが押し寄せます。

ここは、サラ城の方が宜しいかと存じます」



「いや!!

それは出来ない。

マーブルで遣らなければならない事が有るんだ。

僕は、人生の大切な決断をしなければならない」




「スコット・・・?

一体どうしたの?」



エレノアが心配そうに王子の深刻な表情を覗き込みました。




「いずれ君にも分かるだろうから事実を話しておくよ。

さっき撮られた写真が出回っているんだ。

僕と君の姿がバッチリ映っているそうだ」




「嗚呼~・・・」




エレノアが頭を抱えてシートにもたれ掛かりました。




「どうしよう。

こんな事になるなんて・・・」




「心配しないで。

ただ・・・。

君もこれからはマスコミの攻撃を受ける・・・。

その対応を間違うと地獄に堕ちる」




王子の口から出た「地獄」と言う言葉に、エレノアの脳裏に王子の過去が鮮明に浮かんで来ました。





エレノアが15歳の時にそれは起こりました。

多くの少女と同じ様に、素敵な17歳の王子様は憧れの的でした。

友達と宮殿に行って、一日中正門の前で王子が出て来るのを待っていました。

急に国民の前から姿を消した大好きな王子様を探す為に、夜遅くまで門の前に座り込んだ事も有りました。

テレビや新聞、雑誌は一人の年上の女優とのロマンスをセンセーショナルに書き立て、失恋した王子が精神的にダメージを受け引きこもったと結論付けていました。


王子の悲しい運命に自分を重ねて涙した乙女の一人でした。



しかし、誰も本当の理由を知る事は有りませんでした。



今・・・。


この短い言葉が、その時の苦悩を指している事を確信しました。


王子が地獄から生還して、国民の前に姿を現した時は、この奇跡を神様に心から感謝しました。

そして、大学のキャンパスで偶然王子と出逢った時、再び神様に心の底から感謝しました。

初めて逢った王子は、多くの女の子達や学友に囲まれて遥か遠い存在でした。


でも・・・。


孤独な王子の青い瞳は、恋する乙女心を再び目覚めさせてしまいました。


大人になった少女は、目の前の皇太子に恋をしてしまったのです。


いつの間にか学友の一人になっても、少女は自分の気持ちを解放出来ませんでした。


王子の姿を遠くから黙ってクールに見つめていました。


2年間も燃える情熱を胸の奥に閉じ込めて・・・。







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☆~あなたの心が欲しいだけ~☆







やがて・・・。




友情が真の愛情に変わって行った夢のような日々が、このまま続いて欲しいと願いました。


愛しい恋人の悲しい過去を・・・。


国民の前から姿を消した苦悩を・・・。


共に分かち合い幸せに成りたいと思いました。


二度と地獄を見ないように・・・。




エレノアはそっと王子の腕に手を添えました。




「スコット・・・」




王子も、もう止められない気持ちを伝える為に、エレノアの手を固く握りながら言いました。




「僕を信じて付いて来てくれるかい?」




「当然でしょ!!」





強気のエリーの瞳から涙が零れ落ちました。



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