この巻が「サッカー その11」であることに、運命的な何かを感じずにはいられないのです。
そして“11”年前の今日、2002年6月4日は、サッカー日本代表がW杯において初めて勝ち点を得た日でもあるのです。ところは今日と同じく、埼玉スタジアム2002。結果も今日と同じく引き分け。
単調な試合も、
ゴール前のゴチャゴチャも、
不可解な選手交替も、
川島の全身ピンクも、
まあいいじゃない、今日は。
今日は引き分けでいいんだから。
内容なんて要らないんだから、今日は。
でもまあよく引き分けたなあ。っていうか、よくあそこで蹴れるなあ。
本田という男は、
大人になっても、
日本代表になっても、
W杯を決める場面でも、
ラストチャンスと覚しき状況でも、
日本国中の目が彼にプレッシャーを与えても、
少年の頃、野原で駆け回ったときと同じ気持ちでサッカーが出来る人なんじゃないだろうか?
PKの笛が吹かれると知らないうちにボールを抱き抱え「俺が蹴る俺が蹴る」と、なんかワクワクしているようにすら見えた。
本田はPKがあまり得意じゃないと思う。あそこで真ん中に蹴ったのは「度胸」というより、それが一番彼には確実な選択だったからなような気がする。
それでも「俺が蹴る俺が蹴る」。
あのチームの中には彼より上手くPKを蹴れる人は他にいる。でもあそこで「決める」人は彼を置いて他にはいない。
外した時の全責任まで覚悟した清々しい顔だった。男前が上がった。シビれた。
「コンフェデで優勝する」と男前は言った。
今日の内容では無理。
だけど彼が言うなら、きちんと「準備」をすれば、イケる気がするから不思議だ。
いざ、ブラジルへ。
まずは、おめでとうございます。
そして、ありがとうございます。
ガンバレ、日本。