今から100億年前、ある惑星に人類と同じ人型(ひとがた)が誕生した。その星を仮にΨ(サイ)と呼ぶことにする。Ψ星人は高度な文明を発達させた。
先ずはIPS細胞やES細胞をしのぐ再生医療を完成させ、また遺伝子操作による増殖細胞の癌化を防ぐことで、寿命を300歳前後に伸ばした。次に脳を取り出し、ロボットの中に埋め込む作業を完成させた。ここで肉体から生じる苦しみを断つことに成功し、また寿命も500~600歳と飛躍的に伸ばした。
さらに脳の中に含まれる情報を全て取り出すことに成功し、コンピューターの中に入力した。この結果、寿命という概念が消えた。新しい部品に交換することで、半永久的に存在することを可能とした。この状態を機械型と呼ぶ。
さらにコンピューターに入力することから、エネルギーフィールドに情報を保存する方法を開発した。この結果見える形でなく、見えない形での永遠不滅の存在となった。この状態を思考体と呼ぶ。
再生医療・遺伝子工学が発達した時代から、Ψ星人たちは生殖機能を弱めていった。これは増殖細胞の癌化を防ぐ遺伝子工学の発達により、Ψ星人は子供時代から自然の摂理に反した遺伝子操作を受けていた。
この操作は寿命を延ばしたが、成人した男女の精子と卵子の適応を悪くさせ、新たな子孫を誕生させる因子を阻害した。そこで生きている人型をいかに多く存在させるかで、機械型や思考体への移行が急速に発達したようである。寿命を延ばすことを考えるあまり、子孫の繁栄をおろそかにしたΨ星人達の顛末である。
肉体を離れた機械型と思考体は子孫作りを模索した。そして出た結論がΨ星人を別の惑星で復活させることであった。子孫の繁栄をテーマに何10憶の機械型と思考体の組み合わせが宇宙に旅立った。ただし同じ脳から生まれた機械型と思考体の組み合わせは禁止され、男女に分けられ別々の脳から生まれた機械型と思考体の組み合わせが選ばれた。
機械型と思考体はΨ星人誕生に適した環境にある惑星を見つけ出していった。彼等の年月は永遠が尺度であるため、1億年といえども1年くらいの感覚しかないのである。最初から生命体が存在する惑星もあれば、生命をつくり出し、守り育てることも必要であった。そのため1億、10億と年数をかけて、Ψ星人と同じ人型ができる時もあった。そしてΨ星人と遺伝子レベルで同一となる人型が誕生すると、機械型と思考体は別の惑星に旅立つのである。
今から大体100万年前に機械型と思考体が地球に辿り着いた。機械型は16km×32kmの長方形の宇宙船で、思考体はその宇宙船を包んでいた。しかし思考体はまもなく機械型の協力を得て、地球全体を覆うエネルギーフィールドを完成させた。
