前回のblogで、ちゃぶ台のお話をしたついでに、ちゃぶ台のお話を。
まぁ、その、彼の家にあるちゃぶ台。その名も・・・大吉さん。
(勝手に大吉さんと命名。縁起の良い名前じゃないと罰が当たりそうなもんで)
大吉さんとの出会いは、半年前の春。
引っ越したての彼の
「ちゃぶ台が欲しいんだ、俺は!」
という台詞を下北沢に響かせながら、骨董品屋さん巡りをしてたわけで。
いつも、金銭面で真面目な彼が、値段を気にせず、
次々とちゃぶ台を評価してゆく。
たかが、ちゃぶ台。されど、ちゃぶ台。
馬鹿にしてた私だったが、ちゃぶ台を黙々と試査してゆくうちに、
「このちゃぶ台はなんだか色が、安っぽい~」
「あいつは足長でかっこ悪い~」
「こいつ、なかなかの色男やねぇ~」
などど、いつの間にか2人で本気になってたわけだった。
そんなこんなで巡り会えた、大吉さん。
親切丁寧な初老の店主が広げてくれた時は、思わず2人そろって
「かっちょい~!!!」
っ言わせた大吉さんは、なんと、
なんと、
6000円もしたのだった。
ダイニングテーブル3万円の方がはるかに安く感じるほど、
私のちゃぶ台感覚は劣っていた。
というよりか、ちゃぶ台人生初体験だった。
その後、小田急線から2回乗り換え、
(電車の中では、きっとちゃぶ台カップルなんぞと呼ばれたわけで)
無事?彼の家に到着。
既に彼の家に足をつけることに、ワクワクしてしまっていた私と彼。
大吉さんの足を広げ、彼の畳部屋の真ん中に置くとなんだかもう2人で盛り上がりに盛り上がってしまった。
そんな、大吉さん。
私の足の長さよりも一回り小さい大吉さんが、この後私を苦しめ続けるとは・・・・・。
小さな大吉さん。でも、その威厳っつたら、これまた、半端ないのである。
焦げ茶の渋い色合いで、うまく部屋に溶け込んでる風だが、こいつはそんなに甘くない!
いつから、大吉さんを恐怖に感じただろう。
いつ頃からか、私が料理をする光景がなじんできた新居で、大吉さんはさらっと大物ぶりを見せ始めたのだった。
「あかんやろ、ロールキャベツなんぞ、おしゃれなもん置いたら、
せっかくのワシの風合いが、どうもこうもないやん。」
「あーあかんあかん、なんや、その粋な食器は。平茶碗を置けー、湯飲みや-、おちょこやー」
「うお~、ワシの、ワシの上に、チ、チ、チーズ・・・・」
と、まぁ、こんな具合に無言の圧力をばしばしかけてくるのである。
いや、私は、モノとお喋り出来るようなメルヘンな子じゃないですけどさ。
また、時として、こんな光景もあった。
彼の男友達と3人で鍋をかこった時のこと。
三十路坊主の私の彼。
どんぐりみたいな髪型をして、STARWARSのTシャツとスパッツ姿の私。
そして、
2人でやっとの小さなちゃぶ台に、三十路巨大男がもう1人。
恐ろしくシュールな絵だった。
昆布だしの効いたお醤油ベースの鍋をするとより一層シュール感が倍増しそうで、
怖くて私は断固としてキムチ鍋を譲らなかった。
大吉さんの上で、履歴書を書いていたときは、
「大吉さん、大吉さん、私頑張ってるやろ?そやろ?大吉さんの力で受からせてもらえへん?」
などと、頼み、
朝大吉さんの上でぐだらせてもらっていると、
「お前は、また呑んだんか。酒臭いぞ、それでも、女か。あっ、お前、ギョーザまで食うたやろ?そやろ?」
とお叱りを頂戴し、
昨日なんかは、ケンカの一部始終を実況中継されてたのだ。
「おっ、おしーなぁ。最長記録まで、後20秒足らへんかったなぁ。」
「おい、坊主!お前、こんなおなごでホンマええんか?」
「うっひょー!聞いたか?おい、そこの電気ストーブの若造!この女よう恥ずかしいないなぁ」
って、そうなの、大吉さんは今やあの家で1番えらい。
たぶん、私が生まれる前から、たいそう多くの茶番劇を見、
蒲田行進曲の中のちゃぶ台のように(略し過ぎかな)、
まぁ、たいそう頑張っていきてきた大先輩だと思う。
しかし、なんだか、時に2人きりになると怖いのよ。ほんと。
でも、なんだかホント結構素敵な大吉さん。
昨日、キレて物を投げてた時に、実は目の前に大吉さんがいらっしゃったんだけど、
大吉さんが怖くて、人生初のちゃぶ台返しは成立しませんでした、はい。
あぁあ、なんでちゃぶ台なんだろう。