Pessimiste Ver.666 -9ページ目

Pessimiste Ver.666

絵,ネタ書きのブログ

「やあ,ヴェガ.1年ぶりに見る君は,どこか太ったようだね.僕に逢えないからって油断したんじゃないのかい?」
「こんにちは,アルタイル.女性の体のことを指摘するなんて,あなた少し小物になったんじゃないの?でも当たってるわ.確かに私は太った」
「おお,素直に物事を認めるのはやはり僕が愛したMyハニーだよ.どうだい,一緒にガス大星雲小旅行とでも」
「あなたも,そんな傲慢な口繰りは健在ね.いいわ,たとえブラックホールだろうと灼熱の太陽だと,私はあなたについていく」
「いい子だね,流石は僕が愛した女だよ」
「知ってる言葉それしかねぇのかよてめぇ.ったく退屈しながら付き合ってるこっちの身になれってんだ」
「何か言ったかい?」
「いいえ,何でもないのよ?ホホホ」





>>>>>Character


■アルタイル

 牽牛や彦星とも言う存在

 ヴェガの恋人

 不躾な言動が目立ち,傲慢


■ヴェガ

 織女や織姫とも言う存在

 アルタイルの恋人

 短気で時折言葉遣いが乱暴になる






Vol.02>>


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急に思いついた小話

2ヶ国語的ホームコメディを想像しながら書きました

時はくるりと巡り,また朝と夜の訪れを知らせにやってきた.
或る人間は,この世界を生きてきて,たくさんの生きるを知り,たくさんの死ぬを知った.
途方も無い繰り返し,得た結論は,“無常”それだけだったのだ.

永久とこしえの時を過ごし得るものとも言える,そこら辺に転がっている石や,何処からともなく溢れ出る水と空気,それから気紛れな風
よく考えると、これらが揃えば,概ね四大元素が呼び起こせる.
よくもまあ自然とは,有限とはできたものだ.
などと感慨に耽ることも結構であるが,こちらの角度のみで思考することも如何であろうか.

朽ちぬ限りそこに在り続ける,誰かから造られた机,椅子,硝子戸,漆喰の壁,人形たち.
如何な思いで生と死を見聞するであろう.
思いなど宿っているであろうか.
その人みたいに無常を思うか、それとも我が身でないことと無関心を決め込むか,そもそも思考自体しないのか.

卑屈な者ならば,「モノならばモノらしく,ものなど思わぬ方がいいに決まっている」などと吐き棄てるところだろう.
それは一種の,「そうでなくてはならないのだ」、乃至は、「そうであってほしいのだ」なる,切なる願望すらも含まれてれているようだった.


さてもさても,巡り巡って,何度となく,手を替え品を替え,薇ぜんまいの螺子を調整し,存在者,生態者,夢想者,絶望者,各々の名で呼ばれる者どもを試してみても,生きとし逝ける者という奴は、争い、優劣を付け、犠牲を払い,歴史の過ちから何も学ばず何度でも繰り返した.
我は辟易せし観察者.
手始めに,人の手に造られた人形と,仄暗い目でそれを見遣る鑑賞者を見てみよう.

あそこに置かれている模型は目障りだ
あの人形よりも私の方が美しい
皆に愛でられるならあの子もその子もばらばらになってしまえ.

嗚呼醜い,実に醜い.
汝が醜いのは当たり前だと教えてやりたいが,我この世界に於いて鑑賞者にして干渉者に非ず.
こんな奴らしかいない者どもなど,この世界から滅ぼしてしまえ.
植物…否や,無機物のみがこの世に残れば世界は美しく,素晴らしいものとなるものを…

遠い次元の,皆から提督閣下と呼ばれ慕われた或る者は,一切の汚さに耐え切れず,それでも何万何千と月日を耐えた結果,自ら死を選んた.
彼の者は,間違っているわけではなかったが,聊か純粋さが過ぎた.
ばかなやつだと嗤う者も必ず居たものだった.

所変わって巡る創世の中.
その人は無常を嘆き、無機質に焦がれた
喩えでも,暗喩でもなく,真の意味で,至高なる者を追求し続けた

生きることをやめてみようとした
生きることをやめる行為自体が、生きていると言う事に気付いた

死ぬことをやめてみようとした
そもそもまだ死んでいなかった

争うことをやめてみた
身ぐるみ全て剥ぎ取られた

優劣を付けることをやめてみた
思考できなくなった

犠牲を払うことをやめてみた
目玉だけがそこに残った

喜ぶことをやめた
怒ることをやめた
哀しむことをやめた
楽しむことをやめた
何もなくなった今となっては、それは容易だった


その人の目玉は魂のみを宿した
思考はできない,だが止めてきた事をもう一度しようと言った気がした

再び争うことをはじめようとした
武器を持つ手が,荒野を駆ける足が無かった

再び優劣を付けはじめようとした
語る口も,耳を傾ける者も無かった

再び犠牲を払おうとした
贄に触れることもできなかった

再び喜びを知ろうとした
喜べる身体は無い

再び怒りを知ろうとした
怒れる身体は無い

再び哀しみを知ろうとした
哀しめる身体は無い

再び楽しみを知ろうとした
楽しめる身体も無い

歴史を繰り返そうとした
歴史だけは冷淡に時を刻んでくれた

やはり結論は“無常”に至り,その人は目玉を剥く事も適わず,事切れた
世界はそれでも動くことは,魂の消えた目玉は知っているだろうか

生き物の生死に,何か思うところはあるだろうか
愛するものを抱き締める腕を欲するだろうか
憎いものを滅ぼす武器を欲するだろうか
生き物の瞳孔にはめ込まれた眼球を目障りに思うだろうか
あの眼球よりも私の眼球の方が綺麗だと思うだろうか
生き物の眼球を押し退けてでもその生き物の一部になりたいと願うだろうか

只無残に転がり続ける,魂の消えた目玉の思考構成要素など
目玉の所有者だったその人ですらもう分からない

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