先日、知人の知人からワンルームマンション投資を始めたものの、買ってよかったのか不安になったから見てほしいという相談を受けました。

 

相談を受けた時点で、結果というか私の感想は見えていたのですが。。。

 

詳細資料も頂いて、簡単に分析をしましたので、私の分析を皆さんと共有して、ワンルームマンション投資の実態について知って頂ければと思います。

 

マンションの概要

 

横浜市内の総戸数30戸の築8年のマンションです。

概要は次の通りです。

 

 

ちなみに、横浜市というとすごい都会と思われる方もいるかもしれませんが、横浜市といっても広いのでピンキリです。

今回は中の下といったあたりの横浜です。

 

 

 

投資の分析①~現状~

 

価格など、実際の金額から様々な計算をしていきましょう。

図を見て頂いた方が早いと思うので、まとめてみました。

ちなみに、この方はオーバーローンで2,240万円借りて物件を購入しています。

 

 

 

ざっとこんな感じです。

さあ、もうお気づきですよね。

そう、手残り額がマイナスなわけです。

 

けれども、ワンルームマンション屋さんはこう言います。

「不動産の所得は給与所得と合算されるんです!不動産には減価償却という持っていると出費はないのに損金に計算できる費用が発生するので、所得税が減ります!」

と。

 

ですので、減価償却費も計算してみました。

 

 

あら不思議。これで収支のマイナスと節税効果でトントンくらいになってきました。

※おそらく損害保険料は見せないなどしてややプラスくらいの資料をお客様に見せているのかなとか想像しています。

 

そして、こう重ねて言ってくるわけです。

「そもそもフルローンで自分の資産を痛めずに買っているんだから、人の金で投資しているわけですよ。だから、人の金で儲けようなんか思わないでください。」と。

「しかも、35年のローンを返し終わったら、返済なくなるので、賃料まるっと入ってきて、老後の年金になりますよ!」

と。

 

ちょっと待ってください!

皆さんこんなことに納得しないでくださいね!

 

上の私の表には欠けている項目があります。

それは、空室期間には賃料を取れないというリスク、そして突発的な修繕費用が発生するということです。

ワンルームマンションの場合、ファミリーマンションと違って身軽な方が入居されることが多いので回転が速いです。

それこそ更新のたびに退去があると考えるべきものです。

つまり、2年に1回は空室になってしまいます。

そして、空室になったら、すぐに埋まるかというとそんなことはありません。

 

空室になったら何をするか?

そう、原状回復工事やルームクリーニングを行います。

当然、工事期間は次のお客様は入居できないので、最低でも2週間、入居時期が上手く嚙み合わないと1か月は空室期間となります。

 

つまり、2年に1回は家賃0.5か月分~1か月分の損失が発生するわけです。

そして、工事費用もかかってきます。

最初はクリーニングに毛が生えた程度で、入居者様から頂くお金で賄えるかもしれませんが、段々とクロスの張替えも行ったりと、増えていくでしょう。

そうなると10万円ほどの出費が出てきます。

 

そこまで反映させたものが以下の表です。

 

 

 

これを見てもあなたは購入しますか?

 

 

投資の分析②~将来~

 

ワンルームマンション投資は、有価証券のデイトレードみたいな話ではありません。

長期間にわたる投資です。

ですので、長期間を考えなければなりません。

しかも35年ローンを組むのであれば、35年は考えないといけないわけです。

 

ここで、ワンルームマンション投資の大きなデメリットをご説明します。

それは、バリューアップしにくいということです。

 

一棟マンションだと、管理体制をよりよいものにしたり、共用部の改修だったり、内装のリノベーションなんかで、賃料アップや賃料キープを図ることができます。

 

しかし、ワンルームマンションだと、余白がなさすぎて、何もできません。

たとえその一部屋だけバリューアップして賃料を上げていても、隣の部屋は他人が持っている部屋なので、隣の部屋の賃料が下がっていくと、下げざるを得なくなります。

 

つまりは、賃料は下がっていく一方というわけです。

もちろん、マクロ経済として海外資産の流入や景気の向上などあれば上がる可能性もあります。

けれども、不動産は人口ゲームです。

人口が減っていくと、需要は減り、その割に新築マンションは延々と建ち続けるので、需給のバランスで下がることは目に見えています。

 

そして、築年数が経てばたつほど、空室期間も長くなり、修繕費用も膨れ上がっていきます。

 

また、今回の物件の場合だと、修繕積立金が少なすぎて、必ず上がっていきます。

 

加えて、今回のローンは変動金利で借り入れています。

変動金利は金利の見直しが一定期間で入ります。

ほぼゼロ金利政策のときの金利で借りているので、将来的に下がることはないと思います。

むしろ上がっていくと考えるのが妥当でしょう。

 

そんなことを考えると、30年後の収支はこんな感じの想定ができます。

 

 

 

赤字部分が想定で金額を変更したところです。

 

35年かけてローンを払い終えても、結局残るのは築43年の古いマンションの1部屋。

NET収支で2万円弱。

そして驚くべきは、節税効果を除いて、1年あたり25~65万円の収支の赤字を生み出してきているということです。

均して毎年45万円の赤字と考えると、45万円×35年=1575万円の累積赤字。

 

給与所得がどうなるか分かりませんが、節税効果を考えても14.5万円×35年=約500万円。

 

1,000万円の累積赤字を作って、老後の年間20万円ちょっとの年金を作りますか?という話です。

 

 

 

誰が儲かっているのか?

 

これを知るとなおさらワンルームマンション投資を考え直すはずです。

ワンルームマンション投資は、基本的に、ワンルーム屋さんが持っているワンルームマンションを一般のお客様に買って頂くモデルです。

そして、加えてサブリースまで強制的につけてくるワンルーム屋さんもいます。

※サブリースは賃料保証のサービスですが、当然入ってくる賃料とオーナーへ支払う賃料の差額を利益として取るわけです。しかも、空室期間が長くなったり貸し付ける賃料が安くなって自分たちが赤字になってくると、オーナーへの支払い賃料を下げてきたり、何なら解約も自由にできてしまいます。

 

今回の場合は、サブリースはついておらず、ただ売主のワンルーム屋さんが管理会社として入ってくるので、毎月のワンルーム屋さんの利益(管理料)は少なめです。

その分、当初の販売時に利益を多くとっています。

 

ここのワンルーム屋さんが知っている会社で、内情をたまたま知っているんですが、おそらく300~350万円は販売で利益を取っています。

つまりは1,850万円で買ったものを2,170万円で売るみたいな話です。

 

次に儲かっているのは、金融機関です。

今回の場合、当初1.47%の金利で借りているので、35年そのままの金利で推移するとすると、支払い総利息が630万円ほどです。

均して考えると、毎年18万円くらいの利益です。

 

それに比べてオーナーは儲かるのか??

 

もう答えは見えていますよね!

 

 

まとめ

 

ということで、今回はワンルームマンション投資について、分析をしてみました。

もちろん一概に今回の例と同じモデルというわけではありません。

しかし、私の知る範囲で感覚的に9割以上はこんな感じのビジネスモデルです。

 

ちなみにワンルームマンション投資自体が悪いという気はありません。

もしかするともっともっと日本経済が良くなって、すごく価値が上がる可能性だってあります。

将来のことなんか誰も分かりません。

 

ちなみに10年位前に買った方は、今売ると利益が出る方が結構います。

最近知人のワンルームマンションの売却のお手伝いをしましたが、200万円くらいの利益になっていました。

 

とにかく、このブログに投稿したことくらいは想定した上で、投資の判断を行うべきです。

そして私なら今回の物件はこの条件では決して買いません。

 

もし、皆さまの中で、ご不安なことがあれば、いつでもご連絡ください!

それでは!