私はてっきり、専門医に診断されたことで、自分がADHDであることが公然と証明されたと思っていました。言わば、科学的にお墨付きがなされたと思い込んでいました。

 

それが全く違うということを私に気付かせたのは以下の本です。

発達障害のウソ――専門家、製薬会社、マスコミの罪を問う (扶桑社新書) | 米田 倫康 |本 | 通販 | Amazon

 

以前の私であれば、間違いなく読んで激怒していたことと思います。おそらく、大人の発達障害とされる当事者が読めば、大半は怒り出すことでしょう。しかし、それは痛い所を的確に突かれているからであり、自己防衛本能が働くからです。

 

主治医や診断そのもののあり方に疑問を抱きつつあったため、自己防衛することなく受け入れられたのだと思います。いえ、やはり読み進める中で何度も自己正当化したくなりました。しかし、そことぐっとこらえ、当事者目線ではなく俯瞰的に読むと、認めざるを得ない事実が次々と挙げられていました。

 

特に一番刺さったのは、診断されたことは、発達障害であることが証明されたことではないという一節でした。通常の診断よりも時間をかける精神鑑定の結果にばらつきがあることからして、それは自明のことなのですが、そんなことは通常説明されないと気付けないでしょう。雷に打たれたような衝撃でした。

 

筆者が自分の主張を無理矢理に読者に押し付けようとするタイプでなかったのも良かったのかもしれません。正しいことであっても、正しさを押し付けられる苦しみを知っているので、上から目線で正当性を主張するような本だと、数行も読まずに拒否していたことと思います。

 

主治医をはじめとする医療関係者こそが患者に伝えるべき情報がここにしか書かれていないのが残念です。もっと知られるべき本、知られるべき情報です。