Game Stopの件を見ていて、EB(他社株券償還特約付社債券)にからむ相場操縦の件を思い出した。
ジェー・ピー・モルガン・セキュリティーズ・アジア・プライベート・リミテッドが行政処分を受けている例を参考にしてほしい。
これがまさに「作為的相場形成(相場操縦)」というものである。
金商法では相場操縦、作為的相場形成は以下のとおりの解釈となる。
相場操縦→市場において株価などを意図的に変動又は固定させて、その銘柄の取引に他者を誘い込み、その相場の変動等を利用して自己の利益を図ろうとするもの。
作為的相場形成→実勢を反映しない相場を形成するための取引。他者を誘い込むような取引でなくても、取引の状況からみて実勢を反映しない相場を作為的に形成したものと客観的に認められる取引は、作為的相場形成に該当する。
具体例を全て記載すると長くなるので、ここでは割愛するが、例えば大量に買い付け、売り付けを行ったり、一つの銘柄に対して特定の投資家の関与利率(全ての出来高の中でその投資家の売買の比率)が高くなるのも該当する。
証券会社では、特定の銘柄に対して、関与率が20~30%ぐらいで線引きをしており、それ以上の取引を行うようだと、一定のアテンションを行った後、その投資家の証券口座をクローズする。
要するに大量の株を買う、大量の株を売るというのは難しいことなのだ。
一般的で(今までの常識では)仕手というのは本尊がいて、その本尊が大量に株を買い集めたり、大量に株を売りつけていく。
しかしながら今回のGame Stopの件は、掲示板を使ってかなり多数の投資家が申し合わせて買い注文を出している。
申し合わせてと書いたが、「共謀」であり「株価操作」と言えるかもしれないが、「共謀」を疎明するのは結構難しい。
おそらくアメリカの証券取引法でもこういう事態は想定していなかったのではないかと思う。
ちなみに日本で同様の事が起こったらどうだろうか?
掲示板に書いて売買を行った投資家は金融商品取引法違反に問えるだろうか?
もちろん事実ではない事を意図的に書いていたりすれば風説の流布になるが、そのような行為が無い場合どうだろう?
共謀による株価操作や作為的相場形成に問えるだろうか?
もしくは作為的相場形成だと言えるのだろうか?
(そもそもヘッジファンドが行っている大量に株を借りて売り込むというのも作為的相場形成の可能性があるのだが)
今回の掲示板への書きこみと、それによって大量の買い注文が出たことをクロとすると、証券会社のアナリストレポートで買い推奨が出て
大量の買いが集まるのもクロということになり兼ねない。
掲示板で書き込みを行って情報提供をしている?投資家は、情報提供に対して対価を得ている訳ではないので投資助言・代理業にもならないし、規制の対象にもならない。
おそらくポジショントークなのだろうが、証券会社などではない一般の投資家がポジショントークをしてはいけないという法律はない。
(そもそも投資関連で話している人たちの多くがポジショントークです)
作為的相場形成の解釈範囲は広い。
今回の取引が日本で行われた場合法的にどのような見方があるのか、法律家の意見を聞いてみたいところである。
個人的には取り締まるのは結構厳しいのではないかと考えているのだが。
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