お久しぶりです(^ ^)
マイケルの「Speechless」の分析の途中でしたが、続きを書くのに
難儀していたところに、状況の大変化が起きてしまいました。
健康上の問題を抱えてしまったのです(>_<)
このブログで、ブログ管理人個人に関する日記を書くなんて、
全く考えたこともなく、あり得ないことだと思っていたのですが、
たまたま罹った病気が、無輸血問題に深く関係する種類のものだったため、
闘病日記を書いてみることで、
もしかしたら、JWの無輸血に対する立場、医療現場との関係、
組織が立ち上げている医療機関連絡委員会の働き、会衆や会衆の長老達が
どう関わっているのかなど、
幾らか理解を深めて頂ける機会になるかもしれないと思い立ったからです。
それというのも、残念ながら、ネット上では未だエホバの証人(JW)の
輸血拒否の立場や組織、医療機関連絡委員会に対する誤解や中傷が
数多く見られるというのが実情だからです。
もちろん、全てのことをご説明することは出来ませんし、
どうお感じになるかは人それぞれなので、
これを読む全ての方に納得していただくことは不可能だと理解しています。
それでも、何処にでもいるごく普通の人(たまたまJWだった)の闘病記録から、
少しでも知っておいて損はないと言えるような情報を提供出来たらいいな
と思っています。
もしかしたら…、もしかしたらの話ですが、
マイケルの渾身のアルバム「INVINCIBLE」の歌の歌詞で、
彼が追い求めていた「光」とはどういう意味だったのか…
前回までの分析の続きにも近づけるかもしれません(・_・;
あまり気張らずに、ありのままの経過を綴ってみたいと思います。
入院先からの投稿ですので、限界があることをご了承ください。
時折、一般の方に馴染みのない用語や分かりにくい語句の説明を
挟ませて頂きます。
一例として、ご存知の方も少なくないとは思いますが、
JWの間では、仲間の男性を「兄弟」、女性を「姉妹」と呼びます。
闘病日記を始める前に、無輸血治療を取り巻く状況を把握して頂くために、
多くの病院が掲げている「無輸血治療に対する方針」について、
「ある病院の基本方針の例」を挙げておくことに致しましょう。
現在の日本の多くの病院のホームページには、絶対的無輸血治療を
要望する立場を崩さないエホバの証人に対する対応を念頭に置き、
ほぼ同様の基本方針が示されています。
∽∽∽∽∽∽ 無輸血に関する現在の多くの病院の基本方針 ∽∽∽∽∽∽∽∽
▪️相対的無輸血と絶対的無輸血
相対的無輸血とは、ご本人の意志を尊重して可能な限り無輸血治療に
努力するが、輸血以外に救命手段がない事態に至った時には
輸血を行うという立場・考え方。
絶対的無輸血とは、ご本人の意志を尊重し、たとえいかなる事態に
なっても輸血をしないという立場・考え方。
『当院では「いかなる場合も相対的無輸血治療を行う」を基本方針
とします。宗教上の理由で輸血拒否を望む皆さんに対して、
そのことが理由で診療拒否はいたしません。
患者やその家族が提示する免責証明書等(*1)は受け取りません。
絶対無輸血治療に同意する文書等には署名いたしません。
当院の治療方針に同意して頂けるように努めますが、
同意を得られない場合は他院での治療を勧めます。
緊急の場合は手術同意書や輸血同意書が得られない場合でも
救命のための手術や輸血を実施します。』
▪️解説
*1: 免責証書(継続的委任状)…エホバの証人であれば、常に携帯している
はずの医療に関する指示が書かれた委任状を指します。
(現在は、「医療に関する継続的委任状」とだけ記されている。)
エホバの証人は、全血輸血、赤血球、白血球、血小板、血漿の輸血は拒否、
後に輸血する目的で自己血を採取して貯蔵しておくことも拒否しています。
血液分画などを用いた治療については聖書に指示が書かれていないため、
病院で提供出来るどの治療法を受け入れるか,或いは、受け入れないか
について、聖書によって訓練された各自の良心にそって個人的に決定します。
当人による意思が記されたその証書は法的効力を持っています。
「免責証書」とも呼ばれているのは、患者の強い意思による決定(指示)を
尊重したゆえに、仮に死に至るとしても、病院側は責任を免除される
という意味です。
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─━─━─━「 一人のJWの闘病日記 」 ─━─━─━─━─
▪️健康上の問題に気づいたきっかけ
自分は全く健康だと思い込んでいました。
それ相応の年ではありますが、成人病とは無関係で持病も特になく、
薬も服用していなかったからです。
ところが、ある日(3/19)、ちょっとワインを飲んだその日、夜中から
これまでに経験したことのない仕方で具合が悪くなりました。
激しい胸焼けだけでなく、背中まで痛くなったのです。
これはおかしいと思い、翌日、近くの総合病院に罹ったところ、
単なる二日酔いじゃないかと言われましたが、
自分的には、背中まで痛むのはさすがにおかしいと思い、
CTスキャンの設備がある消化器系の病院を見つけて
検査を受けてみることにしました。
それまで、全く健康だと自負していましたが、
年には勝てず胃の調子でも悪くなっていたのかな…なんて、
思い巡らしていました。
▪️4月5日(月曜日)CTスキャン検査を受ける
検査の結果を聞く予約日は13日の火曜日のはずでしたが、なんと!
それより4日も早い9日金曜日に担当の先生から電話連絡が入りました。
「なるべく早く、出来れば今日のうちに来ていただくことは出来ますか?
お話したいことがあります。」
「え?!そうですか。
分かりました。伺います。」
と返答しましたが、ご想像通り、心がザワザワして怖くなりました。
その日の昼過ぎに先生と面会。
▪️CTスキャンの映像を見ながら、先生の説明を聞く
「副腎という臓器をご存知ですか?
あまり一般的には知られていませんが、腎臓の上にある小さな臓器で、
人が生きていくのに欠かせないホルモンを作る非常に重要な臓器なんです。
副腎は右左に二つあるのですが、画像を見て分かるように、
両方の副腎の上に乗っかるような形で腫瘍があります。しかも結構大きい。
これが何なのか、この映像だけでは分からないので、
出来るだけ早く詳しく調べた方がいいと思います。」
心はザワザワしたまま、「はい、分かりました。」
「副腎は泌尿器科になりますが、心当たりのある病院はありますか?」
「いいえ、ありません。」
「では、当院と連携している(この地区の最寄りの)日本赤十字病院の
泌尿器科の先生宛に紹介状を書いていいですか?」
「お願いします。」
それで、その日のうちに日赤に予約の電話を入れるも、予約が取れたのは
2週間以上も先の28日(水)のことでした。
▪️初診の日、泌尿器科の先生に、エホバの証人であることを伝える
病院から手渡された問診票には、こんな質問事項がありました。
「あなたの宗教は何ですか?宗教の名前を書いてください。」
「あなたはエホバの証人?」と尋ねられているようなものだな…
と思いました。
そして、「でも、この対応はとても助かる」と思いました。
最初から、立場を知っていて頂けるからです。
それで、先生との面談の初めにも、自分がエホバの証人であることを
お伝えしました。
仮に、もし手術が必要になるとしたら、絶対的無輸血の問題で、
日赤では治療を断られるだろうと思ったからです。
「今のところ他に心当たりがあるわけではないのですが、
もしかしたら、ご迷惑をお掛けしてしまうかもしれないので、
他の病院を探した方が良いでしょうか?」
こうお尋ねすると、先生は、
「専門分野だから、そんなに簡単には見つからないと思うよ。」
とおっしゃいました。
そして、「この画像だけだと、色々なケースが考えられる。
内臓の下半分しか映ってないので、全体像も見たいし、
まずは詳しい検査だけはしてみたらいいと思いますよ。
検査には輸血は関係ないですから。」と言ってくださいました。
5月の連休に入ってしまうため、連休明けの5月10日に、
造影剤入りのCTスキャン検査の予約を入れて頂きました。
こうしているうちにも、刻々と時間が経過していきます。
病気になった人なら皆さんが経験していることなんですね。
とにかく、「病院は時間がかかる」。
それだけ、病気で苦しむ人が多いということなんだろうな〜
と痛感しました。
診察を終えたところで、会衆(*2)の長老(*3)に連絡を入れることにしました。
長老が直ぐに医療機関連絡委員会(*4)に知らせてくださり、
その時点で分かっていることに沿った適切なアドバイスを受け、
検査の結果を待つことにしました。
━─━─━─━─━─━ 解説 ━─━─━─━─━
*2: 会衆…JWが地域毎に形成する70〜100名ほどのグループ。
*3: 長老…会衆の成員を世話したり聖書を教える資格を備えた
会衆の責任者。(一つの会衆には大抵複数の長老がいる。)
*4: 医療機関連絡委員会(HLC)…JWの成員が無輸血治療を受けられる
ようにサポートしたり、無輸血に関する有益な医療情報を提供します。
また、医師たちが無輸血の治療を行なうのを援助するため、有用な
連絡サービスを設けています。
医療機関連絡委員会は、無輸血治療に関する3,000を超える記事の
データベース(2000年現在)の中から,医師や研究者たちに医療関係の
印刷物を提供する備えができています。
「証人たちの医療機関連絡委員会の貢献により,今日,エホバの証人
だけでなく一般の患者も不必要な輸血を施される可能性が低くなった」
と,ボストン大学法学大学院の教授チャールズ・バロン博士は述べています。
https://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/102000003?q=医療機関連絡委員会&p=par
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▪️検査から1週間後の18日、結果を聞く日
この時点では、まだ、家族には誰にも知らせていませんでした。
もし、腫瘍が良性だったら、
一人でプチお祝いしよう!なんて、内心そう思っていました(・_・;
でも、悪性の可能性だってないわけではないので、
待合室でエホバ神に熱烈に祈りました。
「もし悪性だったとしても、どうか平安な思いを保てますように。
必要な知恵や判断力を与えてくださいますように。」
▪️予約時間を1時間以上経過してからようやく名前が呼ばれた
部屋に入ると、先生は幾つもの数値が並んだ検査結果のデータを見せて
こう言いました。
「意外な結果でした。データは、悪性リンパ腫の疑いが極めて強いこと
示しています。悪性リンパ腫とは、血液のガンです。
そうしますと、泌尿器科ではなく、血液内科の方になります。
(映像を見て)腫瘍の大きさが前の検査の倍の大きさになっている。
副腎以外の場所にも影が見えますよね。
もう少し調べるために、局部麻酔をかけて、
細胞の組織を取り出したいのですが、いいですか?」
「輸血の同意書を書かずに出来ますか?」
「輸血の同意書は要りません。万が一のことが絶対にないとは
言えませんが…、
そうなったら、静かに寝ててもらうしかないな。」
「はい!」
「早い方がいいので、3日後の金曜日に一泊してもらっていいですか?」
「大丈夫です。宜しくお願いします。ありがとうございました。」
席を立つ私の後ろから、先生が、「頑張りましょう!」と、
励ましの言葉をかけてくださいました。心が温かくなりました。
ただ、癌となると、日赤では治療は断られるだろうと予測できました。
それでも、HLCの兄弟達が惜しみなく援助の手を差し伸べてくださると
分かっていたので、ありがたいな〜と思いました。
▪️結局、ほのかに夢見ていた“プチお祝い”は出来なかったけど…
何とも表現出来ない気持ち…病院の外に出てみたら、
急に別世界が広がっているような感じがしました。
でも、祈りが聞かれていたからだと確信出来ました。
「覚悟」のような、穏やかな気持ちがあったからです。
「エホバ!感謝します!!!」
それから、「まず、何をするべき?」と自分に尋ねました。
帰ったらすぐに長老に連絡し、HLC(医療機関連絡委員会)に報告しよう。
家族にもすぐに知らせなければ。
それから急いで、自分が携帯している継続的委任状の内容を
もう一度じっくり確認して、
無輸血治療に関する資料もしっかり読み直そう!と思い定めました。
5月21日金曜日、がん細胞の組織を採取する検査の際、
血液内科の先生が立ち合いました。
翌日22日には、エホバの証人の特別な巡回大会というイベントがあり、
間に合うかな〜と思っていたら、早朝に退院できたため、
難なく時間通りにzoom配信を見ることが出来ました。
これも、エホバのご親切だと解釈 (^^)v
組織検査の結果が出るのは、またもやそれから10日後のことだと言います。
病院はとにかく時間がかかります。
(腫瘍は1ヶ月で倍の大きさになっていたというのだけど…)
5月31日(月) 血液内科の先生から結果を聞く日…
つづく