阪神5-1広島】9回2死。勝利まであと1人となって、もうこらえ切れなかった。阪神・井川はマウンドの上で泣いていた。127球目。倉を中飛に仕留めると、大粒の涙がこぼれ落ちた。
1失点完投。8月29日以来29日ぶりの12勝目をつかみ「1球1球に気持ちを込められた。きょうは完投できてよかった」。だが、涙の理由を問われると「別に…」。普段と違うしぐさは随所に見られた。マウンドへ上がる度に帽子を取って、バックスクリーンを見つめた。それは入団以来9年間、親しんだ甲子園との“別れの儀式”を思わせた。
メジャー志望を04年オフに公言。FA権取得には09年まで待たなければならず、球団に対し、ポスティング・システム(入札制度)の利用を訴えてきた。残り10試合。今季最後の甲子園登板を阪神での最後と位置づけたのか。10月3日のヤクルト戦(神宮)が最終登板となるが、東京遠征中には代理人を任せる弁護士と面談する予定もある。
岡田監督、チームメートも戸惑う涙の理由は本人しか分からない。逆転連覇を目指し、2年ぶりの7連勝を飾る中で、図らずもエースの去就問題が浮き彫りとなった。
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