日曜が待ち遠しいなんていうのは、何時以来だろう。

午前中に野暮用を済まし、午後ハーレーの883をひっぱりだす。アクセルをあおり、チョークをひき、エンジンをかけ、じっくり暖機運転をしてから走り出す。


環状8号は思ったほど混んではいなかった。また第三京浜をめざす。安くて楽しい第三京浜。


90キロから110キロぐらいで第三を流す。一番左の車線、つまり低速車の車線を走り続ける。以前ならありえなかったことだ。

道路沿いに桜の木があった。風ではなびらが舞い散り、何枚かが私のヘルメットのシールドに張り付く。昨日の雨で今年の桜は終わりだ。わずか1週間。

保土ヶ谷PAでコーヒーを一杯飲み、神奈川道に入り、湾岸線に合流する。杉田で降りる。


私が25年前の最速バイクを売り15年前のハーレーを買ったことが(笑)、彼はあまり気に入らなかったようだ。

塩山から那須へ抜けて、うどん食って帰ってくるという日帰りツーリングを、彼は友人と強行していた。400キロ走ったなどと、斜に構えて語ってみせる。へえ、そりゃすごいですねと受け流す。


こういう話が好きなんだね、バイク乗りというのは。東京から神戸へ走り、コーヒー一杯飲んで何時間で帰ってきたなんていう話が。


仕事の関係で、もうこの人と会うことは、ないということはないが、かなり減るだろうといことが決まったある日、私達はいつものようにバイクの話をしていた。私は彼の那須ツーリングの話を少しむしかえした。

「あれほんとに楽しかったですか?少ない休みに、高速代とガス代で何万も使って走り回って、ほんとに楽しかったですか?」

斜に構えた態度は一瞬で消え、少年のような笑顔が頼りなく浮かぶ。

「ほんとはあの金あったら屋形船にでも乗って・・・」

釣りという他の趣味も持つ、彼の本音がちらつく。


16号を下っていくつかのトンネルをくぐり、横須賀に到着。三笠公園でバイクをとめる。

入館料払って戦艦三笠の中をうろつく。


自分を定義することは尊いと思うのだ。

私はバイク乗りである、ヨガインストラクターである、シンガーである、・・・・・である。

かくあれかしと思う自分へ向って、金や時間や労力をつぎ込む。稼ぎ、耐え、練習し、かくある自分に向けて自ずからを律する。

他人の尻にしがみつき、他人の言葉をかき集めて、うそをつきまくる馬鹿を大勢見ているのでね。

あなたたちは尊いと思う。

でもそれが、あまりに自分を追い詰め疲弊させるなら、どこかで修正すべきだろうな。

それでも絶対に譲らないものはあるんだが。私もそうだし。


16号を帰路に着く。今度は高速は使わない。

クラッチをつなぎ、アクセルを大きめに開ける。ドルルルルッという音と共に、スピードに乗っていく様が楽しい。

途中ZRX1100に乗った、外人のおっちゃんと絡む。信号待ちで顔をあわせて、にっと笑う。


いつものスタンドに寄り、ガソリンを満タンにして、燃費を計る。リッター20キロぐらいか・・・。


来週の日曜を心待ちにして。


Ride To Fun