こんにちは。大阪で仕事を終えて帰宅中の森本です。
先週はEBMについて述べました。
今週はその続き、いきますね。
EBMとは、エビデンスを用い、経験と患者さんの状態や価値観などを統合して決定していく、でしたね。
ですから、EBMという思考は非常に効率的で、なおかつより正確な治療行為と言えます。
しかし問題は、行き過ぎたエビデンスへの思考の偏りです。
ただでさえ、EBMの有効率は60~90%と言われています。
これに、さらにエビデンスへの偏りが顕著になってしまったら。。。
どうでしょうかね。
ここで登場するのがNBM(Narrative Based Medicine)です。
日本語でいうと、物語りに基づく医療、です。
NBMとは、「病を、患者の人生という大きな物語の中で展開する一つの「物語り」であるとみなし、患者を「物語り」の「語り手」として尊重する一方で、医学的な疾患概念や治療法もあくまで一つの「医療者側の物語り」と捉え、さらに治療とは両者の物語りを摺り合わせ、摺り合わせる中から新たな「物語り」を創り出していくプロセスであると考える」、と定義されています。
ここで、もう一度EBMについておさらいしてみましょう。
EBMは、「個々の患者のケアに関わる意志を決定するために、最新かつ最良の根拠(エビデンス)を、一貫性を持って、明示的な態度で、思慮深く用いること。(Sackett DL:BMJ,1996)」と定義されています。
この定義から分かるように、EBMは、普遍的な方法を医療に提供するものではなく、あくまでも、目の前の実際の患者さんに焦点をあてる方法論であると言えます。
あれあれ、両者ともに最終的には似たようなオチになっていませんか?
そうなんです。
NBMは、EBMをあくまでも補完するものであり、対立するものではない、ということです。
NBMを学ぶうえで参考になるサイトを挙げておきます。
https://ds-pharma.jp/gakujutsu/contents/nbm/
上記サイトより、EBMとNBMを統合できるかについて、まとめたものをお借りします。
EBMとNBMを統合することは可能か?という問題について、もう一度まとめておきたいと思います。第1に、「EBMとNBMは相互に補完的であり、NBMを加えることによってEBMの体系は完成する」という考え方が可能です。このような観点からEBMを実践することにより、EBMは真に患者中心の医療となるものと思われます。
しかし一方では以下のような考え方もあります。「EBMとNBMは寄って立つ世界観が異なっているので、簡単に統合することはできないが、患者と医師の出会いの場面において両者は共存しうる」とする考え方です。筆者はさらにその考えを一歩進めて、「EBMとNBMは異なる2つの世界観であるが、患者と医師の対話の現場において、NBMはEBMを包摂・統合しうる」と考えています。その統合のための実践的方法論をまとめると以下のようになります。
1.患者の物語りをまずまるごと傾聴する。
2.エビデンスを物語り的に再解釈する。
3.対話の話題として、エビデンスを利用する。
4.エビデンスが得られない場合でも、対話を続けることによって、新しい物語りの浮上を期待する。
5.不適切な物語りの一人歩きをエビデンスによって防止する。
最後に、EBMとNBMは患者中心の医療のための車の両輪であることを再度強調しておきます。
とのことです。
EBMを実践するとき、NBMも考慮してみてはいかがでしょうか。
今日もお付き合い、ありがとうございました。
みえリハビリテーション研究会
会長 森本
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