ひさしぶり
もう一年過ぎたね。あなたの誕生日前にわたしたちは終わったんだった。
ねぇ、わたしがあの時けしかけたりしなかったら、今もわたし達は続いてたかな。
わたしはあなたに渡すはずのバッグを手にして、
いつまでも続きそうなやりとりから逃げ出した。
あの日あなたはわたしを追ってこなかった。それをわたしも知っていた。
わたしは、あの日わたしの茶色のブーツが鳴らした音を忘れないよ。
街で偶然見かけたら、そ知らぬ顔して通り過ぎて行きそうなあなたは
いつもわたしの側にいて、いつもどこか違う何かを見つめてた。
喋らない人は頭の中で沢山喋っているんだって、最近何かの映画でやってた。
わたしもいつもそうだと思っていた。
だけど一緒にいられるだけでそれだけでよかった。
沢山色んな所へ行ったね。沢山色んなことを教えてもらったね。
沢山感謝しているよ。たまに思い出してくれる?
わたしはもうしばらくあなたにささげたような心は誰にもあげられない。
本当に本当に大好きだったから。
あなたは口下手だから全然口にしてくれなかったけど、
繋いだ手からこぼれそうな愛情を感じた時もあったよ。
でも、ピカソを一緒に見に行った時、あの日不安感から繋いだ手からは
もう愛なんて感じられなかった。
「愛」ってなんだ。って言い合ってたあの頃が懐かしい。
でも、あれは愛だったよ。
今まで育ってきた中で植えつけられた感情だったとしても
わたしは、あなたを愛していました。
今わたしの中の感情の8割ぐらいは哀しみに満ちているけれど、
あの時の気持ちは忘れていないよ。
わたしが勝手にしたこと怒ってることもあるだろうけど、許して欲しい。ごめんね。
-5年後あなたを見つけたら背筋を伸ばして声を掛けるね
一度たりとも忘れたことはない少し伸びたえりあしを あなたの下手な笑顔を-