タマの思い出。後編その1 | Aprikos blogg

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色々ありますが、それでも前を向いて生きようとしているMtFな私の天然ブログです。

こんばんは。アプリコットです。


タマの思い出。後編です。


前回までのあらすじ。


いきなり家に遊びに来たタマは、本当の飼い主がいるにもかかわらず、その日から、私とともに暮らすことになる。そして一緒に暮らしていく中で、私たちの中でもタマの存在は大きくなっていっていた。それがあたりまえになりはじめていたある日…


ここからその続編です。


仕事を終え、帰宅した私は、いつもなら玄関前にいるはずのタマがいないことに違和感を覚えつつも、「今日は飼い主さんところか遊びに行ってるのかな?」と、そのときの私は、それ位にしか考えていなくて、玄関を開けました。しかし、家の中に入ったとたん、いつもと空気が違うことに気づきました。


「ただいま、あれ?タマは?」と私は母に尋ねました。すると、母は、「…まあ、ここに来なさい」といって、座るようにと促しました。


何事かと思い、母の前に正座すると、暫くの沈黙の後、母はこう口を開きました。

「落ち着いて聞くんだよ。さっき、タマが死んだそうだ」


えっ? っと、私はなりました。だって、確かに今朝は元気だったからです。一緒に朝食をとった後、一緒に玄関を出ていったはず。どこも悪くなかったはず…「何故?」。その言葉で頭は一杯になりました。


「お昼ごろだったか、飼い主さん所で遊んだ後、道路を渡って家(ここ)に向かっていたのだそうだ。そのとき、突然車が飛び出してきて、轢かれたんだって」

「じゃあ、車に轢かれて死んだの?」

「いいや…そのときは後ろ足を骨折して動けなくなっただけで、いたって元気だったそうだ」

「だったら、死んでないじゃない。元気なんでしょう?」

「それが…」そういって暫く、母は口ごもっていました。「何?はっきり言って」と言う私に答えた母の口から出た言葉は、信じられないものでした。


何でも、その事故にあった後、飼い主さんとその子供たちが、タマを抱えて向かった先は、川向こうの動物病院でした。近所で一番近くの動物病院でしたが、(今はどうか知りませんが)当時はあまり良い噂を聞かなかった動物病院でした。そこで骨折の治療をしようと、お医者さんが注射を打ったとたん、容態が急変し、そのまま死んでしまった…というものでした。


何で注射で死ぬの?何でその病院に連れて行ったの?


私はそう母に問い詰めようとしました。ですが、思いとどまりました。飼い主さんの判断ですし、母には何の責任もありません。それどころか、その病院の処置判断も、どこが間違いなのか、私には判りませんし、私が責める道理もありません。ただ、私の家に向かっている途中、車に轢かれ、骨折したので、それを一生懸命治療しようとして、結果、タマは死んでしまった…その事実だけがそこにありました。


「そっか…死んだんだ」


私はそうぽつりと言うと、立ち上がり、自分の部屋に入っていきました。


次回に続きます。


ヒマワリあぷりこっと


ごめんなさい。後編は一度で収まりきれませんでした。