『インド錬金術』(水銀、ラサ、パラド) | संस्कृतसागर サンスクリット・サーガラ(サンスクリット語の海)埼玉在住サンスクリット語講師

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世界で一番難解と言われる古代インドのサンスクリット語。ヨーガ、アーユル・ヴェーダ、インド思想、インド占星術etc.インド文化に関心を持つ人へ、サンスクリット語の視点を中心に様々な言葉の由来や正書法、雑学について

最近この本を買いました。

『インド錬金術』

インド錬金術についての解説と


ラサールナヴァカルパ

रसार्णवकल्प
rasārṇavakalpa


という11世紀ごろの文献の翻訳。





巻末にはサンスクリット語の用語集が載っています。


サンスクリット語を教えている生徒さんに

「ずいぶんマニアックな本ですね!?」と言われましたが、

他のジャンルの聖典にも鉱物や薬草の単語が

出てくることがあるので、こういう用語集があると便利なんです。


薬草や鉱物に関する知識は

アーユルヴェーダと関係が深く、

そのうちとくに不老不死を求める薬の製造、

鉱物や金属を練成する技術は

ラサ・アヤナ=ラサーヤナ

रसायन
rasāyana

「錬金術」として発展しました。


ラサーヤナとは、水銀をもとに様々な霊薬、金属を作り出す

水銀の操作工程のことでしたが、

今では「アンチエイジング」という意味で使われていますよね。

ラサ(रस rasa)という言葉は、

もとはソーマという麻薬の一種を搾った

活力液のことを指していましたが、

そこから、精髄、精液体液、味、を指します。


錬金術ではラサは特に「水銀」のこと。


またパーラダ(पारद pārada)という言葉も水銀を表しています。

パーラダは現代の発音ではパラドとなり、


ヒンディー語には

पारदमिश्र パラドミシュラ

पारदमिश्रण パラドミシュラン

水銀を混ぜたもの=アマルガム、合金

という単語があります。


「パラド」を水銀と銀の合金の意味でも使うようですね。

(辞典では「パラド」には

 水銀の意味しか載ってないのですが

 現代の用法なのかな)

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