大学病院形成外科と美容外科クリニックで週7勤務している形成美容外科医のやまもとです。
本日は保険適応で行われる骨切り手術の紹介です。
保険適応の骨切り手術は
そもそも『嚙み合わせ』のために行われています。
顎の骨のバランスに大きな問題がなく
歯並びだけが乱れている場合には
残念ながら保険適応とはならず
自費での治療となることは皆さまよくご存じと思います。
一方、土台である顎の骨のバランスに問題がある場合には
歯並びだけで良い嚙み合わせを得るのが不可能になります
このような場合には骨切手術を行い
土台となる骨ごと正しい位置に強制する必要が出てきます
この場合には矯正治療もふくめて保険適応となります
途中で手術しなくても矯正だけでなんとかなるかも!
となってしまうケースもあるのですが。。。(そもそも診断の誤りともいえます)
手術まで完遂して保険適応となるので、手術が行われなければ保険適応となりません
土台となる骨ごと移動させなければ
正しい嚙み合わせが得られない骨のアンバランスとして
以下のようなものがあります
①上顎前突、
一般的には出っ歯、ガミースマイルとして認識されています
上顎が過剰に前方に出っ張っています
軽度であれば上の抜歯を行い、歯を全体に後方へ矯正していくことで治療可能ですが
程度が強い場合には
下顎を前に出して合わせるか、上顎を後方に下げる、あるいはその両方が必要になります
上下骨切りが必要かどうかは、ずれの大きさや
顎関節への負担
顔の評価やシミュレーションによる検討によって適応されます
中顔面に比べて下顔面が出っ張っており、いわゆる『ごぼ口』と表現されます
Eラインの不整や、出っ歯、ガミースマイルとして認識されています
『口元がモコっとしている』などとも表現されます
こちらも、奥歯を抜歯して歯を全体的に後ろへ送っていくことである程度矯正されます
歯並びでなく骨ごと突出している場合には骨切り手術の対象となります
②下顎後退(小顎症)
Eラインの不整、顎下のたるみなどで認識されています
幼い子供っぽい印象を与えます
軽度であればかわいらしさとも認識されうると思います
男性の場合、小顎症を修正すると非常に男性らしい骨格に感じられます
下顎の骨を分割して前に出すことで修正します
顎下の皮膚が骨に引っ張られるため、顎下がすっきりするような変化が出ることもあります
ズレが強すぎる場合には、上顎を少し後退させて合わせないと、下あごの前方への移動量が大きすぎて嚙み合わなかったり、後戻りの原因になることもあります。
前歯が嚙み合わないほど歯並びが悪い場合
あるいは骨に沿って歯並びを矯正すると前歯が嚙み合わなくなってしまう場合もあります
この絵の角度から見て、
骨を分割して
上顎を時計回りに、また下顎を反時計回りに動かすことで先端が合うようになりますが
きれいに歯が噛み合うということと、顎の位置やバランスが良くなることは必ずしもイコールではないので
両者を同時に達成できるように、事前によく計画を立てる必要があります
顔の左右非対称については
根本的には骨切り手術でなければ修正不可能です。
難しいのは
上下左右のズレだけでなく、ねじれの問題もあり
また骨の左右対称と、歯並びの左右対称が必ずしもイコールではないことです
必要に応じて顎変形症の骨切りに加えて、エラを削る輪郭矯正があったほうが良くなりますが、保険治療でどこまでやるかは術者の一存となっているのが現状です。
嚙み合わせの異常を伴わない軽度の輪郭の左右差についてはヒアルロン酸などで緩和させることもできます。
先述の顎の突出や、前歯の角度の問題のほか、
唇に比べて上顎の骨が長すぎる場合
笑うと歯茎がむき出しになってしまいます
歯列矯正のみである程度改善したり、笑顔を作る筋肉を多少ボトックスで弱めてあげることで改善しますが
程度が強い場合には、骨切りでなければ修正できない形態です。
上顎を切って中抜きをするような形で顎の長さを短縮します
上顎が上に移動するので、下あごも併せて動かさないと嚙み合わなくなります
移動量が大きい場合には下あごも併せて骨切りする必要があります
これらの骨のアンバランスは、単体でも組み合わせでも存在し、
そのアンバランスの構成要素を診断し、それに対して
下顎のみの骨切りか、上下合わせて手術する必要があるか、
どの方向に移動させるか
嚙み合わせと、骨のバランス、さらに結果として現れる顔のバランスが
すべて成立するように治療方針を立てなければいけません
1つの正解はなく
医師ごとに方向性は異なってくるでしょう
これが口腔外科、形成外科、美容外科と
様々な診療科で骨切り手術が行われている理由の一つとも言えます。
次回も骨切り手術について
保険治療、自費診療など
両者の観点から説明していきます
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平日は大学病院で骨切り手術や瞼の手術、再建手術を中心に、
休日は恵比寿や銀座のクリニックで美容外科手術を行っています。
瞼、鼻、骨切り、フェイスリフトなど顔の手術について紹介しています。
保険診療:東海大学形成外科
美容治療:【金】加藤クリニック麻布 0120-112-096
【日】銀座よしえクリニック 0120-398-885
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