ずっとこのブログで紹介し続けている、クマ治療についての論文。

 

脂肪を取るだけじゃなく、靭帯を処理することが大事ですよ、

というのが近年のくま治療の大きなトレンドで

私もその解説をしてきました。

 

くまの溝は”Tear trough ligament”と表現されるもので形成され

概ね一般の方向けに解説しているので「靭帯」と言っちゃってますが

実際には「靭帯」と一言では言い表せないものです。

(今回はそのお話です)

 

今回の論文は今年、形成外科美容外科で最も権威のあるジャーナルの一つである

Plastic and Reconstructive Surgery

に掲載されたもので

 

”Anatomical Characterization of the Tear Trough and the Lid-Cheek Junction: An Iodine Staining Technique Based on High-Resolution Micro–Computed Tomography”

 

イオジン染色による高解像度マイクロCTによる、

目の下のクマの溝を構成している解剖の分析

(一般向けの意訳です)

 

一般の方向けのお話としては

・くま治療に重要な解剖である「靭帯」の構造については諸説あり

・今回それを新たな方法で調査した

・形成美容外科のマニアックな人達はこんな小さい解剖を一生懸命勉強して手術してるんですよ

くらいに思ってもらえれば良いです・

 

マニアックなので以下は医療者向けも含めて

 

老若男女12人のご献体を解剖し、

下瞼のクマの構造を色素染色と高性能マイクロCTで調べ尽くした

ところ、今まで提唱されていたものとは違う見解が示されました

 

これまで

いわゆる靭帯なんてない

靭帯はある

眼輪筋が直接骨についている

など様々な意見が提唱されてきましたが

 

概要としては

Teartrough ligamentと呼べるものは存在する

その内側半分はpalpebral part of the orbicularis oculiが直接骨に付着している

その外側半分はpalpebral part of the orbicularis oculiの深部筋膜から生じており内側のORLに連続する

外側のORLは従来から提唱されていた通り、orbicularis oculiから生じるマルチレイヤーな繊維構造

 

従来は眼窩縁から数ミリ下にORLは存在するという意見があったが

今回の所見ではまさに眼窩縁直上に存在しているようであった

 

ORLは直接皮膚に穿通枝は出しておらず

orbicularis oculiを介して間接的に骨と皮膚を連絡するシステムと考えるべき

 

↓従来の概念

https://www.researchgate.net/figure/Release-of-the-tear-trough-orbicularis-retaining-ligament-complex-generally-extends-from_fig12_321142383

 

 

以上、非常に興味深い論文からの抜粋・意訳でした

要点のズレや、訳の不正確などあるかもしれません

ご指摘いただければ幸いです

 

 

 

 

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