はぁ…そろそろ帰りたい…。
私の手を握りながら、何も纏わずに隣でスヤスヤと眠っている女。
昨日の夜、元カノのねるから連絡が来て「今から会いたい」と言われた。
時刻は22時過ぎ。
遅い時間にこんな連絡が来た時は、その後のことなんて、言われなくても分かっている。
ねるが待っていると言われた場所に、向かう。
そんな中、携帯が鳴った。
"着信 佑唯"
画面に映し出された名前を確認して、私は鳴り続ける携帯をカバンにしまった。
「理佐〜!!おはよ!」
『おはようじゃないから。てか酒くさっ…』
「ふふ、今日もいっぱい飲んじゃった!」
『はいはい、で、なに?」
『分かってるくせに〜。行こ?』
ヘラヘラと笑っていた表情が、一瞬にして変わり、私の手を握り 近くのホテルへと向かう。
いつからこうなったんだっけ。
別れて半年が経って、いきなり「会いたい」なんて連絡きたのが3ヶ月前。
別れた大きな理由は特になくて、お互い、少しずつ気持ちが薄れていっていたことに気がついたのだろう。
自然と、別れ話になっていた。
だから、未練もなくて、言ってしまえば「無」に近い感情。
ねると別れてからは、行きつけのバーやクラブに行って、その度に誰かとホテルに行って…なんて、遊び歩いていた。
そんな話は、共通の友達から聞いたらしい。
久々に会ったその日、ねるとも、そんな流れになった。
当時の彼女に、浮気されたと言っていた。
ねるにとっては、寂しさを埋めるのにちょうど良かったのだろう。
私には、同情の気持ちも、自分への虚しい気持ちも、なにもなく ただ目の前にいるねるを、抱いた。
その日から、そんな日が何度も訪れ、今日もそう。
ただ、今日は仕事の疲れもあって、早く帰りたかった。
そんな時、私の携帯が鳴る。
少し手を伸ばし、携帯を手に取ると、着信の相手は 佑唯。
さすがに、こんな状況で出るわけにもいかず、鳴り続ける携帯を机に戻そうとしたとき、ねるが小さな声で「出ていいよ、私喋らないし」と言った。
『あ、起こしてごめん』
「いいから、出なよ」
私は着信を取った。
「あ、理佐ちゃん!寝てた?」
『いや、起きてた。どうした?」
朝から元気な声で喋る佑唯。
少しだけ携帯を耳から離す。
「どうした、じゃないよ!今日の夜ご飯行こうって言ってたのに、場所も時間も決めずに当日だよ!」
『あぁ…ごめん』
すっかり忘れていた。
昨日の電話も、その話か。
『とりあえず、18時ぐらいでいい?一時間後ぐらいにまた掛け直すから、その時に場所決めるわ』
「18時ね、わかった!ちゃんと掛け直してきてね!」
『ちゃんと掛け直すよ、じゃあ…ひゃっ!』
「……理佐ちゃん?」
話してる途中に、ねるが私の耳を舐めた。
耳が弱い私は、変な声を出してしまって、佑唯は明らかに状況を察したようだった。
『ごめん、またあとで。』
「…うん、あとでね。」
電話を切って、隣にいるねるを見ると、ニヤニヤと笑っている。
『なにしてんの』
「ねるは喋ってないよ?また佑唯ちゃん?」
『そうだけど。』
「愛されてますねー、理佐ちゃんっ」
そう言って、私の唇にキスを落とす。
時計を見て、「あと1時間ある」と耳元で囁いてきたねる。
私はなにも言わずに、またねるの身体を受け入れた。
--続--