ね「お疲れ様でしたー」



部活が終わり、マネジャーの私は最後の片付けを済ませる。





部員が部活中に使ったコップをまとめ、洗い場へと向かう。








ね「あっ…!」



もう少しで洗い場に着く というところで、つまづいてしまい、静かな廊下に散らばったプラスチックのコップの乾いた音が鳴り響いた。






ね「あぁ…もう…」




急いでコップを拾っていたその時、





友「…大丈夫ですか?」


ね「あ、ちょっとつまづいちゃって…」




見たことある…

バスケ部の一年生だ…。




バレー部のマネージャーをしている私は、体育館で見かけたことがある。




話しかけてきてくれたその子は、散らばったコップを一緒に拾ってくれて、洗うのまで手伝ってくれた。





友「バレー部のマネージャーさんですよね?」


ね「うん、そうそう。えっと…バスケ部の子?」


友「あぁ、そうです。ちょっとドジそうだなって、よく思ってました。」


ね「え、ドジ!?」


友「はい、段差のない体育館でよくつまづいたりして、部員に笑われてるから…」




そんなところ、見られてたなんて恥ずかしい。


たしかに、よく ドジ って言われるけど…。






話しながらだけど 二人で洗っていると、あっという間に終わった。







ね「ありがとうね!そういえば、名前…」



友「平手友梨奈です。」


ね「友梨奈ちゃん。私は…」


友「ねる先輩。マネージャーさんはよく名前を呼ばれてるから、聞いたことあります」





そう言って、目を合わせて笑うその笑顔に、なぜだか私の鼓動が高鳴った。







ね「はは、そっか。なんか、色々知られてるみたいで恥ずかしいな…。」



友「ねる先輩がバスケ部のマネージャーだったらもっと楽しかっただろうなぁ」



ね「それ、バカにしてるでしょ?」



友「いやいや、そんなんじゃないですって!」



洗い終わったコップを重ねて、カゴへと戻す。







ね「あ!今度お礼に何か飲み物でも!」



友「そんなのいいですよ」



ね「ん〜でも手伝ってくれて助かったし、それぐらいは、ね!」




その言葉を聞いた友梨奈ちゃんは、一瞬だけ真面目な顔をなって、私の目を見つめた。






友「じゃあお礼に…キスしてくれたら、それでいいです。」



ね「キ、キス…!?」



友「あはは、冗談ですよ先輩。そんな驚いてたらまたコップ落としますよ?」



ね「急に変な冗談、やめてよ…!」



友「なんか、からかいたくなっちゃって。すみません。じゃあ、また。気をつけて帰って下さいね」






ニコッと笑いかけて、バスケ部の部室へと向かって行く友梨奈ちゃんの背中をボーッと見つめている私の心臓は ドキドキ と大きな音を立てていた。




初めて話したけど、綺麗な瞳に見つめられると、目が離せなくなって心の奥がざわついた。



それに、あんな冗談…。




私も私で、驚きすぎだ。







だけどこの日から、私は友梨奈ちゃんの存在が気になるようになった。









--続--