「ねる、帰るよ。」
授業が終わり、私を教室に迎えに来てくれる理佐。
その度に私のクラスに居る人も、他のクラスの人も、理佐を見ながら目をキラキラさせている。
勉強もスポーツもできて、可愛くてスタイルも良くて。
そんな人が、私の彼女。
約2ヶ月前、付き合い始めた時から、みんなそのことを羨んだ。
それでも理佐は真っ直ぐに私のことを好きでいてくれるから、心配はないけど、やっぱりどこかモヤモヤする。
こんなの、これからもずっと続くのかな。
学校の門を出ると、私の手を握る理佐。
これもお決まり。
こんな時間が、嬉しくて幸せなのに、なぜだか今日はいつも以上にモヤモヤした気持ちが募った。
「なんか、機嫌悪い?」
『機嫌が悪いというか…なんか、ムカつく。』
「それ、機嫌悪くない?」
心配してくれてるのか、バカにしようとしてるのか分からないけれど、私の目を見て笑う。
こんなことだって、良くあること。
そんな理佐の表情でさえ、好きって思うのに。
『理佐はいつも余裕そうでムカつく。私だけ、気持ちに余裕がないみたいなんだもん…』
「妬いてるってわけね?」
ほら、その余裕そうなところが、ムカつくの…。
私の目を見る理佐の目から、視線を外す。
「ふふ、怒ってる。」
手を繋いでない方の手で、私の頭をポンポンっと撫でて、またゆっくり歩き出す。
繋がれている手も、私よりも少し前を歩くその後ろ姿も、全部が私だけのもので理佐からの愛だって十分に感じている。
誰が寄せているかも分からない理佐への好意や、人気に嫉妬したってしょうがないなんてこと、自分が一番分かってるのに…。
それから、会話はなく歩き、いつものように、一度理佐の家へとお邪魔する。
「ココア?レモンティー?」
『…今日はレモンティーにする』
理佐が用意してくれたレモンティーを一口、口にした。
「ちょっとは気持ち落ち着いた?」
『…うん。』
自分の余裕のなさに情け無さを感じて、だけど簡単には素直になりたくなくて、こっちを見つめる理佐の目は見ずに、小さく返事をした。
すると、こちらに距離を詰めてくる理佐。
「私だって、全然余裕じゃないよ。私の知らない誰かと喋ってるところを見るのも嫌だし、誰かが触れてたこの腕だって…」
理佐が教室に来た時に、私の腕を組んでいた友達のことだろう…。
いつのまにか、理佐の目から視線離せなくなっている。
そして腕を軽く引っ張られ、あっという間に理佐の腕の中におさまる。
「今だって、こんなにドキドキしてる。」
私の頭が、理佐の胸元に引き寄せられ、心臓の音が頭の中に響く。
「ねると居ると、全然余裕なんてない。いつとドキドキして、誰かに取られるのが嫌で、どっかにいっちゃうなんて思ったら胸が苦しくなる。」
顔を上げ、理佐の顔を見ると少し悲しそうな顔をしている。
私だけ、なんて思っていたけど、理佐も同じことを思ってるんだって分かったら理佐のことがさらに愛おしく感じて、キスをした。
『理佐の気持ち知れて嬉しい。可愛い…』
「こういうこと、伝えるの苦手だから…」
『これからはもっとお互いの気持ち、言い合おう?』
「…うん。」
そして理佐はさっきよりも深いキスをしてきた。
それが、心地良くて、もっと理佐のぬくもりを感じたくなった。
--終--