富裕層が相続税を免れるためにタワーマンションを購入するというケースが増えて問題視されていますね。
テレビを見ていてもお金を持っていそうなタレントさんをからかって「最近タワーマンション買ったそうじゃないですか」なんて言うシーンも見かけます。
ところでなぜタワーマンションの購入が相続税を免れることに繋がるのか不思議ですよね。
少し調べてみたところ単純なカラクリであることが分かりました。


要するに
マンションの売値と買値が決められる時価と
相続税を算出するためにその部屋の価値を評価する「財産評価基本通達」が異なる事に目を付けた方法なのです。


相続税を計算する時にマンションの価値を評価しますよね。
この時、マンションは土地と建物に分けて評価されるのです。
土地についてはマンションの敷地を戸数で割るので各戸の持ち分は非常に小さくなります。
マンションの敷地は住民全ての持ち物だからです。
一方で建物の評価ですが、これは単純に床面積で計算されます。
つまり高価な最上階も安価な低層階も平等に床面積で評価されてしまうのです。
結果として本来なら高額であるはずの高層階の部屋は実際よりも低く評価されることになります。


こうして過小評価された土地と建物の金額に対して相続税がかかるのです。


実際に行われる単純なケースとしては
①タワーマンションの高層階を1億円で購入。
②相続時、その部屋は過小評価され資産評価は3000万円となる。
③1億円の財産を相続したにもかかわらず相続税は3000万に対してかけられる。
④その後、マンションを売却することで現金化し、1億円が手元に戻ってくる。


というわけです。
良く考えたものですね。
ところで私たちも冷静に考えてみなければなりません。
富裕層のタワーマンション購入は悪い事なのでしょうか。
お世辞にも美しい手段とは言い難いですが
現在のルールの中で可能な範囲での節税対策と言えるのではないでしょうか。
こうした節税策を薦める金融機関や税理士法人もいます。
「なるべく相続税を払いたくない」と考えるのは当然の心理です。
問題なのは時価と評価額の差ではなく
税金を集める側と払う側の意識の差ではないかという気もします。


誰もがいくらでも税金を払うことができる金銭的な余裕があって
社会が喜んで税金を払える仕組みになっていればこんな問題も起こらないはずなのですが…。