ポーター&ローラー 期待理論(モチベーション論) | なんとなくIT・ビジネス用語(プロ御用達)

ポーター&ローラー 期待理論(モチベーション論)

モチベーション論の最終兵器ともいうべき、非常に完成度の高い理論、ポーター&ローラーの二人が発表した「期待理論」について説明します。

この理論が登場し、経営学の世界ではモチベーション論の研究があまり行われなくなったと言います。



図にそって説明してきましょう。

■努力
まず人は何によって「努力」を行うか?
これは「報酬の価値」と「確率」に左右されると言われます。ここでいう確率とは報酬が得られる確率ということです。つまり確率が低すぎると人は「努力」をしなくなるということです。


■努力=報酬×価値
大前提として、この理論では努力は「報酬×価値」を掛け合わせた物だと言っています。つまりどちらかがゼロであれば全ての値はゼロになってしまうということ。足し算ではなくかけ算であるというのがミソです。


■成果
では「努力」をすれば誰でも良い「成果」があられるかというと、そうではなくこれにも2つの要素が関係してきます。「資質(=才能)」「役割認知」です。

資質はそのまま才能のことを指します。天才的とは行かなくとも、ある程度の向き不向きに左右されると言われています。

役割認知は、自分が正しい方向に向かって仕事をしているか、ということを認識しているかということになります。かんたんに言えば、会社の目標と食い違った仕事をしても評価されないということです。もし間違っていた場合の補正作業は主にマネージャー(管理者)の仕事になります。優秀なマネージャーの下で仕事をした場合、それだけ成果につながりやすいとも取れます。


■報酬
「成果」にたどりつくと2つの報酬が待っています。
「外的報酬」「内的報酬」です。

「外的報酬」はボーナスや昇進、成果給、インセンティブなど外部から与えられる物になります。図が点線(オリジナルはジグザグの波線)になっているのは、すぐには成果がこれらの報酬にはつながらない場合があるためです。また「外的報酬」には公平性という考え方も出てきます。

「内的報酬」は達成感や開放感など自分の中からわき上がってくる感情のことを指します。


■フィードバックループ
満足を得た段階で人は学習し、どれくらいの努力を行えば成果が出て、結果として「報酬の価値」「確率」がどうなるかを体得します。これらを人は繰り返していくことからこのようにグルグルと回っていくこの線を「フィードバックループ」と呼びます。


■(1)「E→P期待」 (2)「P→O期待」
「確率」へのフィードバックは2種類の線が使われています。図で(1)(2)と書かれているところです。ちょっと分かりづらいので具体例を出します。

家電量販店の店員Aさんはテレビ売り場の担当でした。
Aさんは今月以下のような成績でした。
 ※努力を指数化する方法はここではふれませんが、
  どれくらいがんばったかを表す指数だと思って
  ください。

   努力:10
 販売台数:10台
   報酬:30万円

翌月Aさんは先月よりもがんばったところ、以下の
ような結果になりました。

   努力:15
 販売台数:15台
   報酬:32万円

ここで言えるのは
 「努力して、結果が出た」=E→P期待が高い
 「報酬が比例していない」=P→O期待が低い
と言えます。
ちょっとややこしいので上の図と見比べながらよく考えてみてください。


■批判
批判としては合理的すぎるという意見があります。特に人間の感情は「努力=報酬×価値」などで表すことができるかという点です。



しかし、よく出来た考えてあることは図を見ると一目瞭然と言えるでしょう。今の自分の仕事をふりかえって考えてみると実感がわくことでしょう。