昨日初日を迎えた映画「ブラックスワン」を観に行きました。
本作でナタリーポートマンはアカデミー賞主演女優賞を見事受賞。
その名に恥じないド迫力の演技で圧倒していましたよ。
主人公ニナは、純真可憐なバレリーナ。
ニナの母親は元ダンサーで、自分の果たせなかった夢を自分の娘に託して、
娘がプリマドンナになる事、それだけを糧に生きているような女性だ。
ある時ニナの所属するカンパニーで、チャイコフスキーの「白鳥の湖」が新たなキャストで上演されることとなった。
長きに渡ってウィノナライダー演じるアラフォーのダンサー「ベス」がプリマだったが、
もはや時代が終わったとばかりに表舞台から降ろされてしまう。
かわって新しいプリマ=スワンクイーンをオーディションすることになり、ニナも候補の一人となる。
「スワンクイーン」は純真な白鳥と、悪魔的で男を翻弄するような黒鳥の2面性を表現することを求められる難しい役どころ。
ニナは過保護な母親にスポイルされ、たくさんのぬいぐるみにを大事にしているような無垢な娘で、真面目で緻密なダンス=白鳥、は踊れるものの異性を誘惑するような毒に欠け、舞台監督からも「不感症ダンス」と一蹴されてしまう。
でもどうしてもプリマの地位は欲しい。
結局あることをきっかけにニナはスワンクイーンの座を射止めるのだが、
セクシーで魅力的なライバルのダンサーも現れニナの立ち位置をおびやかし始める。
追いつめられるニナ。
次第に現実と妄想の区別がつかなくなり・・・・
・・・これ以上は言えません。
言いたいけど~~~!
最近バレエの舞台を観たいと思ってたのだけれども、満足しました、映画ですが。
常々思っていたのですが、高い芸術性を持つ芸術家は必ず「華と毒」の両面性を持っているのです。
もちろん作品も然り。
丁寧で几帳面なだけだと優等生なだけで面白みも無いし、ドキドキ感とかワクワク感とか、ソワソワ感とか危うさを感じず心にズシーンと入ってこない。
毒だけなのはもっての外で、その思想を裏付ける高い意識と技術が無いなら、ただ露悪的で観るに値しない。
白鳥の湖は、そのどちらも持ち合わせていることが必須で、実際チャイコフスキーが作曲した当時は踊りきれるダンサーがおらず、公演自体は不評であることが多かったらしいです。
男性ダンサーとの激しい「パドゥドゥ」も多様され技術的にも難しい役だが、1年間猛特訓したというナタリーポートマンが演じきっていて、その迫力にいつしか引き込まれてしまいます。
(ボディダブル<替え玉>論争も湧きあがっているようですが。)
ある音楽家が「大天才でない限り音楽で食べていこうと思ってはいけない」と言ってましたが、
まさにその言葉を具現するような映画です。
作品をモノにしようとするあまり、自分が潰されてしまうからです。
むしろ潰されるくらいならまだしも、ですが。
誰でもが言えることや、分かっていること、出来そうなことは娯楽の範囲であり、それはそれで万人の楽しみとして在りだと思いますが、芸術を創る人は、人が考えもしないような境地にいるはずです。
このブラックスワン、無きにしもあらずで近い心境の人、結構いるんじゃないかな?
ラストを観て「あー母に怒られながらも6歳でバレエを辞めて良かった~」と思ったのでした。
ホント厳しい世界なんですよね、幼児期で辞めちゃったからあんまし分かったようなことは言えませんが。
(バレエの先生がすんごく怖くて私は登教室拒否になった。)
なんにせよ、映像もザラザラしていて怖さ倍増のこの「ブラックスワン」、お薦めです。
あなたにも自分の知らない黒い部分があるかも、です・・・