英国Southampton大学病院のAravinthan Varatharaj氏らは、武漢コロナ患者の神経系合併症について調べました。
脳血管疾患、精神疾患、末梢神経疾患の患者データを集めて解析するためのポータルサイトを立ち上げ、各分野の専門医が登録してくれた153例のデータを分析して、Lancet Psychiatry誌電子版に2020年6月25日に報告しています。
153人中152人が入院患者で、このうち125人(82%)から完全な臨床データセットが得られ…
125人中77人(62%)に脳血管イベントが発生。
うち57人(74%)は脳梗塞。
9人(12%)は頭蓋内出血。
1人(1%)は中枢神経系血管炎。
125人中39人(31%)は精神状態が変容。
9人(23%)は分類不能な脳症。
7人(18%)は脳炎を発症。
残りの23人(59%)は、精神科の診断定義を満たし、この23人中10人(43%)は新規診断精神病。
また、6人(26%)は認知症様の神経認知症状。
残りの7人(30%)はその他の精神疾患(3人が抑鬱、2人が人格の変化、1人が緊張病、1人が躁病)と判断された。
125人中6人(5%)は末梢神経障害。
この6人中4人(67%)がギランバレー症候群だった。
2人はその他の末梢神経障害とされた。
年齢が記録されていたのは、脳血管イベントを経験した77人中74人(96%)と、精神状態の変化を経験した39人中37人(95%)だった。
脳血管イベントを経験したのは高齢者に多く、60歳以上が61人(82%)で、60歳未満は13人(18%)。
一方、精神状態の変容では、60歳以上は19人(51%)で、60歳未満18人(49%)だった。
武漢コロナ発症者に認められた急性の神経精神合併症に関する国家レベルの調査は、これが初めてだとの事です。
原題は「Neurological and neuropsychiatric complications of COVID-19 in 153 patients: a UK-wide surveillance study」
概要はLancet Psychiatry誌のウェブサイトで閲覧できます。
日経メディカルより