一般にアルツハイマー型認知症の診断の精度は60~80%と言われており、決して高くありません。MRIや脳血流SPECTといった既存の画像検査を駆使しても判断が難しいケースもあります。
 そこで近年、アルツハイマー型認知症の病理所見であり、従来は病理解剖でしか分からなかった老人斑や神経原線維変化を画像診断できるようにしようという動きが出始めたとのことです。
 半減期が110分と長い放射性同位元素[18F]で標識されているアミロイドPETの診断薬が、欧米や日本で相次いで実用化されつつあるのです。
 florbetapir(18F)は老人斑に結合し、その密度(濃さ)や集積部位を評価できる診断薬です。老人斑がわずかまたは全くない例では、線維化細胞のある白質だけにしかflorbetapir(18F)が集積しませんが、老人斑が中等度ないし多量にある例では、白質に加えて大脳皮質(灰白質)にも集積を認めるため、老人斑の有無を判断できるのです。
 重要なのは、アミロイドPETが、あくまで老人斑の有無を評価するものだという点です。
 例えば、認知症で老人斑が陽性であれば、アルツハイマー型認知症の可能性が高いと判断できるほか、軽度認知障害(MCI)で老人斑が陽性であれば、数年以内にアルツハイマー型認知症に進行する可能性が高いと考えられます。ただ、確実に進行を抑える手段がない中で、老人斑が認められたMCIにどう対応するのかは、非常に大きな課題です。
 国内でも現在、日本核医学会、日本神経学会、日本認知症学会が共同でアミロイドイメージングの臨床利用に向けたガイドラインを検討中で、2013年度中にも発表される予定だそうです。

        (参考/日経メディカル)