紀元前3100年から紀元1930年ごろまでに生きていた、様々な人のミイラ計137体の全身をCTスキャンした結果、アテローム性動脈硬化の有病率はどの地域でも同様であること、加齢と共に有病率が上昇していたことなどが明らかになったとの事です。

 アテローム性動脈硬化は、ライフスタイルに関連する現代病とされて来ました。ですから、産業革命以前の生活や、農耕以前の狩猟採集生活を送っていればこの疾患は避けられると考えられて来たのです。
 しかし、実際に多くの人がそうした生活をしていた時代に、動脈硬化の有病率が低かったのかどうかは明らかになっていませんでした。

米Saint Luke’s Mid America Heart InstituteのRandall C Thompson氏らは、エジプトのミイラ44体を調べ、20体にアテローム性動脈硬化を見出しました。
 ただし、ミイラとなった古代エジプト人は社会経済的地位が高く、動脈硬化リスクの高いライフスタイルを続けていた可能性があったそうです。そこで彼らは、産業革命以前の様々な人のアテローム性動脈硬化の有病率を調べようと考えました。
 具体的には、食習慣も遺伝的背景も大きく異なる4つの集団のミイラ137体に対して全身CTスキャンを行い、アテローム性動脈硬化の有病率を調べたのです。

 その結果、アテローム性動脈硬化は、約4000年も前に生きていた古代エジプト人にも、農耕以前の狩猟採集生活を送っていた近代人にも同様に見られたのです。
 得られた結果は、アテローム性動脈硬化は現代病ではなく、人はもともとその素因を持っており、加齢と共に現れる可能性をしています。