「男性型脱毛症」で初のガイドライン
日本皮膚科学会


 日本皮膚科学会は4月に行われた同学会総会で、「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版)」を発表した。日本における脱毛症のガイドライン策定はこれが初めて。
ガイドライン策定委員長の坪井良治氏(東京医科大学皮膚科教授)は、「市販の育毛剤が数多く普及し、育毛サロンなども増えている。薄毛関連の市場は1000億円ともいわれるが、科学的根拠に基づかない治療法も横行している。学会としてもこうした状況を無視できず、日本の実情に合ったガイドラインの策定が必要と判断した」と話す。



「男性型脱毛症」は男性の約3人に1人に発症
 男性型脱毛症は、前頭部や頭頂部の毛が薄くなるのが特徴で、成人男性に見られる薄毛や脱毛の大半はこの男性型脱毛症だ。発症の主な要因は「遺伝」と「男性ホルモン」とされ、毛周期(毛が2~6年で生え変わるサイクル)における成長期が短くなることで、毛が細く短くなる。

 多くの場合、40歳代に症状が明確(中等症以上、図1参照)になるが、早い例では20歳代から薄くなり、徐々に進行する。男性全体の発症率は約3人に1人。男性型脱毛症は女性にも発症するが、男性に比べると少ない。

 このように、比較的ポピュラーな病態で悩む人が多い半面、命にかかわる疾患ではないことから、これまで医療における対応は十分になされてこなかった。今回、日本皮膚科学会が男性型脱毛症の治療に積極的に取り組むべく診療ガイドラインの策定に至った理由について、坪井氏は以下の3つを挙げる。

 第1は、育毛サロンなどにおいて、診療まがいの行為が実施されている場合があること。

 第2は、あまり効果が期待できないような化粧品・医薬部外品の育毛剤に、効果を誇張した広告がなされていること。

 第3は、米国食品医薬品局(FDA)が禁止している人工毛植毛が日本では行われており、感染例などの有害事象が多く見られること。

 「これらの問題を改善する意味もあり、現存する治療法のエビデンスの量および質の評価を行い、推奨度を決定し、治療アルゴリズムを作成した」と坪井氏は語る。

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