築地二丁目/韓国料理「鐘路(チョンノ)」(つづき)


新しくできたばかり風だったからユナとユニがいると思って思わず向かいの店を振り返ったが岡本麗も塩見三省も覗いていなかった。


メンバーが私の決定を待っている顔にぶつかったので、ショウのつもりで小さくうなずいて店に入った。


おじさんがケータイを眺めている。

どうみても給仕は初めてと見える若いイケメン二人がおびえたような目でわれわれが席に着くのを見ている。


神狗か?


「ユッケジャンは赤いスープ?」とイケメンAにたずねると「はい」と答えたので、ケータイを眺めながらわれわれの注文をとろうとしている店主らしきおじさんにそれぞれ注文の品を伝えた。


「ユッケジャン」

「カルビクッパ」

「プルコギ丼」

「焼肉定食」


(げっ、焼くのかよ!昼間っから臭くなりたくないな・・・)


と注文を終えて、トイレへ。


戻ってくると先ほどのおじさん、注文伝票を持って、またそれぞれに注文を聞いている。

私がまた注文を述べなければならない順番が来てしまった。

素直に繰り返す気になれなくて


「またいうのかよ」とボソッと苦情をもらすと、すでにその時期を通り過ぎて観念しているプルコギ丼が余裕のやさしさで、「確認しているんでしょ」となだめてくれた。


韓国料理店らしく小皿の突き出しが3つずつ配られる。


私のユッケジャンが最初にきた。


マシッソヨ


まるでレトルトのようにバランスのよい味。


私が食べ始めてしばらくすると、カルビクッパが届く。


カルビクッパは、他の二人の注文の品が届くのを少し待ってみたが、あきらめてお先にといって食べ始めた。


プルコギ丼が届いた。


焼肉定食はこない。


私が7割ほどを食べた頃に目玉焼きが届いた。全員に。でも、焼肉定食はまだこない。


デザート?


なんでいまごろ目玉焼きなんだ?


「これ、乗せて食べるの?」とイケメンBにたずねると、「そのまま」と答えた。

デザートか?


焼肉定食は目玉焼きを食べ始めた。

オードブルだ。


私が食べ終わるころ焼肉定食の前に白いどんぶりがおかれた。


焼肉 丼 だ・・・。


かわいそうで焼肉定食あらため焼肉丼の目が見られない。

私は目の前で肉が焼かれないから臭くならずにすみそうなことも喜んだが、それを喜ぶことは隠した。


私ならはらわたが煮えくり返っても食べないわけにはいかないし仲間もいるから怒るわけにもいかないしという複雑な感情できっと涙が出てしまうかもしれないと考えると言葉を失うかと思ったけど、おっかぶせるように「焼肉 丼 じゃん?」と言ってしまった。



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