春とはいえど
朝の風は冷たい
春は名のみど
風の寒さよ
と早春賦に歌われている
まさにそんな朝である。
滋子さんは
すでに起きて、テレビを見ている
ここ最近、ベッドに座りたいと
私を含むヘルパーさんに頼んでいる
ベッドに座ると
以前は15分が限度で、
頭を下げたままで、不安定であった
今は
30分は座っていられる
頭も持ち上げ、じっと前を見ている

大丈夫というと
こちらに顔を向ける
目がじっと
私を見つめている
しっかりと

朝はまだ寒い
滋子さんの春もまだであるが、
血の通った暖かさがある