滋子さんが

筆ペンという
筆ペンを買って来いという
どうしてなのかと思っていた
何度もいうので、
昨日買ってきて枕元に置いておいた。
朝の散歩から帰って、昨日来ていた
郵便をみていると
一枚のはがき
私宛である
裏をみると
大きな文字で
パパと書いてあった
誰からだろうと
みると
お滋さん
金曜日に行っている言語療法のリハビリで書いたものだった
時間は
日曜日の朝9時
まだ暑くはない時間だが
なぜか
目に汗が
じわっとわいてきた

ベッドサイドに行くと
うつらうつらの滋子さんがいた。
ありがとうとその葉書を見せた
自分で書いたの
と聞くと
うなづいた
もう一度
ありがとう
心の中で
ありがとうということばが
何度も
何度も
湧き上がってきた。
昨日は、滋子さんの60歳の誕生日
逆に滋子さんから贈り物