因幡 晃

電車の中で
女性の手に結婚指輪
ふと
昼の食事風景が浮かんだ
久し振りに先輩から
昼飯のご招待
本郷の楠亭
フランス料理で名高いお店である
食事が終わりコーヒーを飲んでいると、
高草さん
お子さんは
娘と息子
それに孫3匹
先輩はぜいたくな
私も娘と息子
娘は38歳
まだ家にいるんですよ
早くと思っているのですがね
居続けられるとさびしいが
いなくなるのもさびしい
そんな思いがただよう
親がそこにいた
親心が漂っている
介護亭のお客様
女性のお客様
父親の気持はこんなものですよ

娘が男を連れてきた
赤坂のtokyo　joesに連れて行った
娘さんをください
とのこと
もちろん否応ない
思わず
返品不能と言いたかったが、
さすがに初対面ではきついだろう
と
口をつむんだ
娘には幸せになってほしい
義理に息子には
娘を泣かせないでほしいと思う
でも、自らを帰りみると
奥様をしっかり泣かせた
義理の息子にだけそれを要求するのはかわいそう
だから、せめて
別れないでほしい
だから返品不可である

こんな文章を書いていると
ふと
因幡　晃のわかってください
のフレーズが浮かんだ

分かってください
こんな分かってくださいもある