金曜日 休日
不思議な光景に出くわした
大学の同期から同窓会の知らせ
同窓会は正確ではないかもしれない
大学は同じである
学部はほぼ同じであり、卒業年月日が異なる
その中に内田君がいた
彼の下宿が私の下宿と歩いて数分であることから、付き合いが始まった
同じクラブに入った
同じころにやめた
理由は別々だが、やめた
そのクラブの面々や同じ学部の面々が7名、彼の下宿に出入りした
理由は簡単であった
彼がきれい好きであったこと
下宿が8畳と広かったこと
そして何より、下宿のおばあちゃんとおばさんが人懐っこく、我々を受け入れてくれたことである
ほとんどだれかが、彼の下宿で寝泊りした
よく許してくれたと思っている
つまり、その下宿にたむろしていた計8名の同窓会であった
奇妙な同窓会である 30年以上会っていない面々の同窓会である
最寄の地下鉄の駅 もっとも30年前には無かった。
駅を降り、30分ほど歩いた
確かこのあたり、目当てのビルがあった
その門を曲がり、数10メートル歩くと私の下宿
今は駐車場である
そして、そこから数メートル歩く
左折する
正直30年前に道筋の光景をまったく覚えていない
確かこの先の階段のある家
だったと思う
あった
思い出した
この階段
階段を上り、声をかける
だれも出ない
玄関に靴
そのまま、上がり、階段を上っていくと
すでに6人が集まっていた
遅くなってすみませんと
挨拶
6人 初老の6人とおばあさん
あの当時おばさんであった人も今はどうどうとしたおばあさん
おう 高草 変わらないなあ
とそれぞれが口にする
空いた場所に座り、見渡す
まず1名 上原くん 思い出した
桐原くん、たしか田中くん、金沢弁で思い出した
見事な白髪 小野 今は結婚して青木くん
変わらない広島弁で思い出した 野間くん
最後まで誰だろうと思ったのが、この下宿の主であった内田くん
10分ほど話をあわせて、会話をしていると、徐々に30数年前に戻っていた
あの当時の顔ははっきり思い出せない
でも、話は確実に30数年前に戻っていた
人間も戻っていた
最後に、1年後輩の(確か)勝丸君の登場 1年若いだけあり、元気であった
不思議な光景であった
徐々に彼らの顔が、30数年前の顔になっていくような気がした
最後に下宿 野の山宅の前で、写真を撮った
30数年前、卒業前にもこうした写真を撮った
30数年前の写真と今の写真を見比べるのも面白いなあと思っている
ふと、思ったのは、あの当時の私はどんな顔だったのだろうか
一番思い出せないのは、自分自身なのかもしれない
30数年前に戻っている彼らの中に、ぽつんと58歳の自分がいるような気がした
本当に奇妙な光景であった
(注:書きながら、本名はだめかな、U田 K原などにしようかと考えたが、内田、桐原と書いたほうが実感があると思い、実名で書いた。ご迷惑をかけたとすれば、申し訳ない)