再びコーヒーの話
朝のコーヒーの香りは格別である
臭覚神経から起きろと信号がでて、元気になってくる
セネガルにいたころ
ここはフランス圏であり、濃厚なコーヒーにミルクをたっぷり入れたカフェオレがいい
朝早くおき、デニッシュを近くのパン屋に行き、買ってきて、ホテルのテラスで朝飯
これが格別にいい
セネガルの朝は、日中に暑さと違い、ひんやりとした海風が適度に朝の大気を快くしてくれる
この大気とコーヒーがよく合っていた
アメリカはアメリカンコーヒーというけれど、日本のような薄いコーヒーにはめったにお目にかかれない
テレビのクイズ番組で、もともとアメリカンコーヒーは英国の紅茶の味に近づけようとしてできた代物のようであり、トルコなどの中東を起源としたコーヒー文化とは異なるのだろう
そういえば、レモンティーは戦時中、午後の紅茶を楽しもうとした英国軍人が、戦場でろくな紅茶がないので、しかたなくレモンをたらして飲んだのが起源らしい
英国では、基本的には、ミルクテーである
海外で暮らしていると、お茶を飲むひとときの安らぎが必要なのであろう
海外にいるとき、日本茶を持っていく人が多い
私は持っていったことがない
日本のお茶と海外の水が合わないのか、食べ物と合わないのか、お茶がおいしくない
むしろ、その国のお茶がおいしい
ウズベキスタンのサマルカンド
シルクロードの拠点である
サライという宿
暑さを避けるために、小さな部屋が円筒状に囲み、その中心にらくだの水のみ場がある
部屋に入って、外をみると、中央に井戸があり、シルクロードの陽射しが乱舞している
部屋の中はひんやりとしていて、けっこう快適である
濃厚なコーヒーや紅茶を飲みながら、棗やほし葡萄をつまむ
甘酸っぱい葡萄と濃厚な紅茶が疲れを取ってくれる
いずれにしろ、その国に行かないと味わえない味である
思いはとめどなく続く
パリにいるときは、できるだけシャンゼリゼの近くに宿泊する
割高だが、どうせパリのホテルは高いから、気にはならない
朝、かわたれ時、散歩にでる。
シャンゼリゼ通りのカフェは、夜遊びにつかれたおねえちゃんおにいちゃんが
コーヒーカップを回しながら、まどろんでいる
仕事開けのウエイターやウエイトレスも座って、ボスの悪口や色恋沙汰で時間をつぶしている
そんな中で、コーヒーとワッフルを食べているのは、なかなかいい
やがて、本格的な朝がきて、車に乗り込み、帰っていく
夜のけだるさが帰っていく
勤めに行く前の人々が、代わりに入ってきて、朝のカフェが始まる

日曜日の朝、いつものスワンでエスプレッソを飲みながら、旅の空を思い出していた。
コーヒーは旅へ憧れを掻き立てる