朝 6時 
群青の空に月
新浦安のビル群のスカイラインの上に、白い月
夜明け前
かわたれどき
三番瀬まで歩いていくと、東京湾の雲が橙色に染まってくる
夜明けである
冬の海は、きらきら細かいガラス片をちりばめたような輝きである
春の海は、どんより重油のような、のったりした顔である。
夏はやたらにまぶしくて、まともにみていられない
とにかく、冬の海は、すっきりした風景である。
朝日を背にうけ、道路を歩いていくと、レギュラーメンバーであるイトーヨーカドーに朝日が輝いている。
家の前にくると、消し忘れたクリスマスのイルミネーションが光っていた
このまま点けておくか
部屋に入ると
朝のしじまの中で、奥様の荒々しい寝息
おはようと声をかける
薄目をあけて、ちらっとみる
また眠る
室温27℃
常夏の国である
おもむろに、お湯をわかす
水道の蛇口をひねる
冷水に手がつけられない
しばらくして、温水
昨日のコップなどの洗い物をかたづける
陽射しがカーテンを赤く染め始める
テレビをつけて、滋子さんの世話
お湯が沸騰
カップにコーヒーを入れ、お湯をそそぐ
カップのなかは、朝の混乱
やがて、香ばしいコーヒーの香り
邪道かもしれないが、温めておいた牛乳をたっぷりいれ、
ひとくち
ほっ
さらにひとくち
ほっ
滋子さんの顔に直接陽射しがあたらないように、カーテンを少しあける
朝が常夏の部屋に乱舞する
時間通りの朝である
何事もない朝である

コーヒーのかおり 忘れかけた日々 冬どけい